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椿姫
第三幕その二
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人の関係なぞわからないものなのです」
 その客人はフローラに対してそう答えた。
「人の心は風の中の羽根のようなもの」
「しかし」
「しかしでもです。移ろい易いものであることは貴女も御存知でしょう」
「確かにそうですが」
「それならばおわかりの筈です。よくね」
「はい」
 頷くしかなかった。
「それよりも彼女も招いたのですよね」
「ええ」
 フローラはそれを認めた。
「こんなことになっているとは思いもしませんでしたから」
「大変なことになりますよ」
 客人はそう囁いた。
「何とかそれを避けないと」
「どうしましょう」
「まずはアルフレードに注意することです」
「アルフレードですか」
「ヴィオレッタはわきまえた方ですが」
 彼はヴィオレッタのことをよく知っていた。そしてアルフレードのことも。
「彼はまだ若い。ああ見えて激情家でもあります」
「そうだったのですか。それじゃあ」
「そうです。とにかく彼には注意して下さい」
 彼はそのうえでまた言った。
「何をするかわかりませんよ」
「わかりました」
 フローラはその言葉に頷いた。そしてアルフレードを見た。

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