8 「受難のち衝撃の出会いからの確信」
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遣いはいらニャいニャ」
「いや、そういうわけにも……つーか、わざわざこんなカラクリ使ってこなくても、普通に呼び出せばいいじゃねえか……」
「逃げられると思ったんじゃニャいかニャ。旦那が本人に“自分は人嫌いだ”って言ったのニャ。そのリーゼロッテだかエリザだかに」
「……名前でのイメージからは“エリザ”だな。気の強そうな娘だったし…、…だってまさかもう1回会うなんて、思いもしなかったんだよぉ……。やばい、どうしよう。まともに会話できる気がしない。平常心、平常心…」
情けない声を上げてずるずると下にずり落ちる。デュラクの尻尾を枕にすると手で顔を覆って、呪文のようにひとりごとを言い始めた。ルイーズは「やれやれだニャ」とぼやきながら、少しでもナギの匂いが薄まるようにと着替えを調達しに家へ戻った。ハナは一心不乱にうちわを仰ぎ、ナギの気分の回復に務める。
「ああああ、村になんて行ったら絶対人だらけじゃん。どうするよ。ただでさえこんななのに、ペイントボールの匂いがプンプンする男って……どう考えても歓迎されないでしょ」
「だから、旦那の顔はメラルーのニャアから見てもかっこいいと、何年言ってるニャ?」
「それはお前の目がおかしいんだ。180度反転して見てるだろ。って、こっちも何年言ってんだか」
「はぁ……ほんと、やれやれニャ。とりあえず着替えを持ってきたニャ。どうせここに来るまでまだ時間も結構あるだろうし、沐浴でもしてにおいをちょっとでも落としてくるニャ」
「おう…サンキュ……」
へろへろと立ち上がり、ルイーズから受け取った服を抱えて川へ向かう様子は、とても先日颯爽と少女達を助けたあの青年と同一人物とは思えない。まるで背中に100kgの重石でもおいてるんじゃないかと思うほどうなだれている。
「ここ最近、いいことないよなぁ。なんで7年間平和に過ごしてきたのに、ここ数日でこんなにもピンチになってんだろ……ああ、もっと川に近いとこに住めばよかった……でもそうすると雨の日の川の氾濫がなぁ……ああ……臭ぇ……」
ぶつぶつ言いながら下着姿になって冷たい川に身を浸す。ハンターお手製のペイントボールの匂いは水浴び如きでは落ないのは分かっていたが、それでもベタベタした触感は消えた。しっかりとルイーズが桶に入れてくれた手作り石鹸も使って、わしゃわしゃと体を洗っていく。液が飛び散った髪も念入りに洗った。
オヤジ臭いだのなんだの言っているが、ルイーズのこういう気の利くところがナギは好きだ。だからずっと一緒にいるのかもしれない。かれこれ7年の付き合いになる彼女とも、いろいろと気の置けない仲になった。何よりルイーズとは話していて楽しい。意思は通じても会話ができないデュラクと2人っきりだったら、きっとナギはもっと根暗な人物になっていただろう。
そう言
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