8 「受難のち衝撃の出会いからの確信」
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
に入れてあった(でないとルイーズにすぐ盗まれる為)お手製マタタビクラッカーを皿に出した。籠と竿は部屋の隅に置いた。話は長くなりそうだ。
「ニャッ、ありがたくいただくニャ…」
小さな手にそれをとって、ちょこんと座った椅子に足をぶらぶらさせる様は、何度見てもとても愛らしい。
ルイーズはメスだがはっきり言って並みのオヤジよりもオヤジ臭いので、共に暮らしていてもまったく「かわいい」と思わない。風呂に入りながらニャーニャーニャーニャー歌うのは本当に勘弁してほしい。なんとなく音程というか曲調というかが演歌っぽいのだ。気がつくとひとり暖かいところで横になって、クラッカーをバリバリ食べながら近隣(主にヨルデ村)から盗ってきた雑誌にひとりでツッコミをいれるのも、オヤジらしさに拍車をかける。その姿、まさに横になってテレビを見ながらせん餅を食べるオヤジそのものだ。
この間など夜寒い時期になったら腹巻を作ってくれと頼まれた。思わず表情筋が引きつったのは仕方ないと思う。嫌がらせに薄汚れた白いインナーシャツと一緒に茶色に縦縞模様の作品名「THE・OYAJI」にしてやった。本猫にはまったく通じていなかったが。
だからナギにとって訪れてくるハナの存在は、正しく癒しだった。ポリポリと小さな一口でクラッカーを食べる様子など、その名のとおり猫可愛がりしたくなる。お土産にマタタビクラッカーを今日もたっぷり持たせてやろう。
1人ルンルン気分だったナギは、ハナが差し出した手紙が入っているという箱らしきものを受け取ったときも、軽い気持ちでそれを開けてしまったのだ。
それを受け取ったことを、数分後凄まじく後悔するなんて思いもせずに。
「箱?」
「『兎に角開けろ』、って言うように言われたニャ」
「誰に?」
「それは――」
そんなことを言いながら、少し固い蓋を力任せにぐいっと開いた瞬間。
べちゃっ
「ぶふぇっ!! げほっ…ぐえええ……」
ぷーんと漂う独特の匂い。明らかに天然の色ではない、だが非常に見覚えのあるピンク色の煙が家の中に広がる。
「く、臭いっ。臭い臭い臭いッ!!」
「ウニャアアアッ!」
ペイントボールだった。箱を開いたら勢いで飛び出してくる仕組みだったのだ。幸い顔面ではなかったものの胸元に直撃したそれは、強烈な匂いを発して遠くにもその存在を知らせる。
鼻のよいメラルーであるハナは、ものすごい勢いで後ずさるとナギから一番遠い壁にへばりついた。
「ニャに事ニャ!? 旦那、ペイントボールの調合でも失敗したのかニャ!!? うニャ! くっさ!!」
駆け込んできたルイーズが、ヒーヒーいいながら片っ端から窓を開け始めた。外でデュラクが心配する声をあげている。が、ナギは今それどころで
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ