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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第三十話 テオドラ
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。もしかすると貴方は自分で思っている程賢く無いのかもしれない……。どちらかしら?」
「貴様……」
嘲笑しているわけではない。しかしルビンスキーにとっては嘲笑を受けるより屈辱だろう。身体が小刻みに震えている。

そんな男の姿を見て俺の隣に居る女が微かに苦笑を浮かべている。ドミニク・サン・ピエール、結構きついな、この女。ルビンスキーの表情が屈辱で歪んでいるぜ。この二人、元は愛人関係に有ったらしいが到底信じられん。ルビンスキーも趣味が悪いとしか言いようがないな。

「嘘じゃあないぜ、彼女が俺達の仲間になったのは一年も前の事だ。あんたは気付かなかったようだがな」
「一年……」
ルビンスキーが俺の言葉に愕然としている。哀れな奴、お前の不幸は親っさんを敵に回した事だ。

「ルビンスキー、お前さんは間違ったんだ」
「間違った?」
「ああ、間違った。俺達がフェザーンに事務所を開いた時、詰まらねえ小細工をして仕事が来ねえようにしただろう? 自分の力に大分御満悦だったそうじゃねえか」
「……」
黙り込むなよ、まあ自分の指図じゃねえなんて言うよりはましか……。

「あのなあ、親っさんはな、俺達にフェザーンで商売しろなんて一言も命じてねえんだ」
「何だと?」
「親っさんはな、俺達にお前を見張れと言ったんだ。いずれ帝国はフェザーン、同盟を滅ぼして宇宙を統一する、その日までお前を見張れってな」
「……」
俺の言葉にルビンスキーは呆然としている。

「だからな、フェザーンでの商売はお前の目を晦ます芝居だったのさ。仕事が無くても全然構わねえ、お前を油断させることが出来るならな、笑えるだろう?」
「……馬鹿な」
ルビンスキーが信じられないといった表情をしている。その顔が可笑しくてつい笑い声を上げちまった。ドミニクも一緒に笑い声を上げている。ルビンスキーの表情が益々屈辱に歪んだ。

「親っさんがお前の事をこう言っていたぜ、自分の力を見せつけ優越感を感じていないと安心できない男だってな」
「……」
「喧嘩の下手な男だとも言っていたな、今のお前なら分かるだろう?」
ルビンスキーが呻き声を上げた。

「分かったでしょう、何故貴方を見限ったか。所詮貴方は嫌がらせをするのが精一杯の男、それに比べて黒姫の頭領は宇宙の統一を考えて動いている。貴方が勝てるわけないわね」
「……貴様」
「貴方じゃ満足できないの、見ていて詰まらないのよ、御免なさいね」
そういうとドミニクは含み笑いを上げた。怖ええ女だぜ。

「ボルテックが、地球教が失敗したのはお前の所為か!」
ルビンスキーの怒声にドミニクが詰まらなさそうに苦笑した。その姿を見てルビンスキーが更に激高した。掴みかかろうとして男達に取り押さえられる。この女、男を苦しめるために生まれてきたような
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