第5話 中ビリビリ
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プリングにある程度砂鉄が吸着したのを確認すると、能力を解除する。
すると、先ほどまでスプリングについていた砂鉄は、砂の上に落ちてゆく。
牧石は、この訓練をしばらく繰り返した。
「ねえ、お兄ちゃん。
何やっているの?」
「ぼくたち、すなやま、つくるの。
じゃまだよ」
「おにいちゃんも、いっしょに砂山つくる?」
「・・・・・・邪魔したな」
近所の子どもたちに話しかけられるまで。
一週間後、牧石は、再び砂場に来ていた。
今日の牧石は、透明なビニールの手袋を身につけていたが、コイルの代わりとなるスプリングは持ってきていなかった。
「昨日までの訓練の成果を確認するか」
牧石は、目を閉じて精神を集中すると、目の前にスプリングが存在するようにイメージする。
そのイメージを確立した後、少しずつ電力を、頭の中に思い描いたスプリングへと流し込む。
牧石が、目を開けると、小さな光の線が現れる。
牧石が思い描いたような、電流の流れが出来ていた。
牧石は、昨日まで毎日イメージトレーニングを続けてきたことによる成果である。
小さな、光の線に砂鉄が集まってくる。
「金属がなくてもできるとは、……」
牧石は、上手くいったことを確認すると、今度はコイルの形状を変化してみた。
コイルの形状が変化したことで、その磁力線により集まる砂鉄の量や形が変化していく。
ちなみに、コイルの両端は一つの光の線でつなげている。
特訓により、牧石が直接ふれなくても能力が発動できるようになっている。
ちなみに特訓は夜の公園で行っていた。
当初は、訓練室で行おうと思ったが、先日気絶したことで、当面許可が下りなかった。
また、学校にも砂場があるが、陸上部が部活で使用することと、練習内容がもう一人の牧石に知られることを恐れたことも原因である。
牧石が、星形を作っていると、一人の女性が牧石に声をかけてきた。
「おもしろそうね」
牧石は、話しかけてきた相手を眺める。
女性は、ゆったりとっした白のワンピースに麦わら帽子をかぶり、帽子の後ろからは長い黒髪が背中まで伸びている。
体型や、服装からすれば十代後半に見えるが、顔を見ると大人の女性の雰囲気が漂っている。
「こんにちは」
牧石は、ひとまず能力を止めて返事をする。
「お邪魔したかしら」
「能力の練習には休憩も必要ですよ」
牧石は、笑顔で答える。
「そうだったわね。
懐かしいわね、私も子どものころはあなたのように、一生懸命訓練したわね。
結局、レベル2になれず大学を卒業したけどね」
女性は、懐かしそうに話した。
「お姉さんなら、そんなに、昔のことではないでしょう?」
「あら、お姉さんだなんて、お世辞でも嬉しいな」
女性は牧石の言葉
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