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とある誤解の超能力者(マインドシーカー)
第6話 別れ
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求めるために説得を試みた。


「黒井。
それは、違うぞ」
牧石は、心で黒井に話しかける。
「誰だって、知られたくない秘密はある。
黒井にだって、知られたくないことくらいあるだろう。
だけど、僕は黒井を受け入れる」
「嘘!」
黒井は牧石の言葉を否定する。
「信じられないのなら、好きに僕の心に入るがいい」
牧石は、展開していた心の壁を取り払った。

黒井は、牧石の胸に握った手を当てて、静かに想いを読みとった。
「牧石……」
黒井は、ようやく落ち着きを取り戻し始めた。

「僕は、どこにでもいるような高校生だ。
たいした事は、考えていない。
それでも、黒井を泣かせるような事はするつもりはない」
「牧石のバカ……」
黒井はしばらく牧石を抱きしめていた。

搭乗手続きを知らせる空港のアナウンスが聞こえた。
「黒井。
そろそろ、手荷物検査の時間だぞ。
急がないと、荷物だけ搬送されるぞ」
「わかっているわよ、そんなことくらい」
「なら、さっさといけ」
牧石は黒井の背中を押した。

「牧石……」
「また、休みになったらサイキックシティに来い。
適当に相手になってやる」
「あたしには、お兄ちゃんがいるから大丈夫よ」
「そうかい」
牧石は、なきやんだ黒井を見送った。


牧石の夏休みは終わった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



空港での牧石と黒井のやりとりを遠くから観察していた女性がいた。
黒い服をまとった磯嶋と、福西だった。

「磯嶋さん。
いいのですか、顔をあわせなくても」
福西はゴーグルで二人を眺める磯嶋に声をかける。
「牧石は、私の敵です」
磯嶋は、視線を動かすことなく福西に答える。
「そうですか、……」
「あなたは、私よりも牧石を選ぶといったわよね。
私の計画を、伝えるつもりなの?」
磯嶋は、挑発的な表情で福西に答える。

「俺がメールで送った内容は「研究ならば磯嶋さんを支援する」という内容です。
今は研究の話なので、磯嶋さんを支援することに変わりはありません」
福西は、たんたんと述べる。

「そう……。
君もおもしろい人ね」
磯嶋は表情に笑みをみせる。

「さて、磯嶋さん。
ここで、時間をつぶしてもいいのですか?
今日は、大事な研究成果の仕上げの日ではありませんか?」
福西は、疑問を口にする。

「もう調整は済ませたわ。
今頃は、君の友人の家で手伝いをしているはずよ」
「なるほど、さすが磯嶋さんというところですか」
福西は感心しながら、磯嶋を見つめる。

磯嶋は、観察用のゴーグルをはずすと、福西にも聞こえないようにつぶやいた。

「手に入らないのなら
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