第5話 花火大会
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物がいた。
「お前さんたち、兄妹か?
どうだい、射的をやってみないか?」
威勢の良いかけ声の店員だった。
牧石達は、別の露店の前に立っていた。
「牧石。
それは、なんだ?」
「金魚すくい?」
「牧石。
どうして、疑問系なのだ?」
「さきほど発生した射的の悲劇を、まだ覚えているのなら、僕が断言することをためらう理由も理解してもらえると思う」
「牧石。
あの看板の文字は「金魚すくい」と記載されているが?」
黒井の指摘のとおり、「金魚すくい」とかかれている。
牧石は、黒井の言葉に反論する。
「どうして、黒井は「金魚すくい」という看板をみながら、僕に質問するのかな?」
「牧石。
あれが、金魚に見えるのか?」
黒井は目の前にある、小さな直方体のプールを指さした。
指の先にある、魚のようなものは、生きた魚のように水中を漂っていた。
しかし、その魚は金属に覆われていた。
「金属性の魚……。
略して金魚か」
牧石はため息をつきながら答えた。
店主である、若いお兄さんから、やらないかと誘われたが、
「僕の家には、水槽がない。
僕がもしこの金魚をすくったら、この金魚の末路がみじめなものになる。
僕にとってこの金魚は、すくっても、すくうことができなくても、絶対にすくいきれないものなのだ」
と牧石は答えた。
黒井は、「うまいことを、言ったつもり?」という表情をしたが何も言わない。
店のお兄さんは、牧石達を一瞬にらむと、すぐに別の子どもに声をかけ始めた。
牧石達は、人通りの多い通りを抜け、神社の境内への道とは異なる山道を登っていた。
まもなく打ち上げられる花火を、観賞できる場所として、神社の境内から徒歩3分ほどで到着できる場所がある。
ただし、その場所は多くの市民が知っている場所であり、昼間から場所を確保しなければ、人が多すぎて観賞できない恐れがあった。
そのため牧石達は、目黒からメールで教えられた、隠れた穴場へと続く道のりを20分ほど歩いていた。
牧石は、ゲームによる筋肉痛が残っていたが、それ自体に慣れてきたと言うこともあり、普段のペースで歩いていた。
目黒が、牧石にメールで教えていた、「花火観賞の穴場スポットその2」だそうだ。
牧石が、目黒に「どうしてその1を教えないのか?」と質問したら、「お察しください」
と返された。
牧石は、その意味を理解して腹が立った。
「ようやくついたか」
牧石は、視界の開けた場所に到着した。正面には、サイキックシティの夜景がきらびやかに飛び込んでくる。
それに対抗するかのように、光輝く星空は、新月であることも加味されて、いつもよりも近くに感じられる。
下に目を向けると、下り坂になっており、柵の先は崖に
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