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とある誤解の超能力者(マインドシーカー)
第6話 読むこと
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つもありがとうございます」
牧石は、食堂で小早川さんに声をかけられると、お礼を言って頭を下げる。

白い割烹着に、三角巾という食堂の制服ともいえる姿をしていた。
三角巾の後ろの両側からのぞかせるツインテールと幼い顔立ち、150cmを超えない身長、凹凸の少ない体つき、割烹着の下に身につけているワンピース、少し間延びした感じの高い声により、牧石とほとんど変わらないように見えるが、実際には10歳ほど年上である。

「なにか、今、牧石君から、変な視線を感じたのですが」
「気のせいですよ、小早川さん。
そのように思われるのは、僕の不徳のせいでしょう」
牧石は、年上が相手にも関わらず、気さくに話しかけている。
先日、買い物を手伝って、お互いに親近感をもったことも理由だ。

「今日は、牧石君のリクエストで、カレー鍋です!」
小早川さんは、小さめの鍋をとりだすと、テーブルにあらかじめ用意されていた鍋しきの上にちょこんと載せる。

牧石は、鍋から漂ってくる湯気とカレーの香りに興奮と満足をしていた。
「ありがとう、小早川さん!」
「この前、買い物に手伝ってもらったお礼です」
小早川は、はにかんだ笑顔を牧石に向ける。

その笑顔の威力は絶大で、仮に小早川の実の父親であれば、「よーし、パパ、何でも買っちゃうぞ!」と言い出しかねない破壊力があった。
もちろん、牧石は小早川の父親ではないので、
「こんなお礼があるのなら、いくらでも付き合いますよ」
と、牧石は、鍋からお玉を使って器に移し替える作業をしながら答えた。

「それじゃあ、お願いね」
小早川はほほえみながら、牧石の食べるのを観察する。
「了解です。
そして、いただきます!」
牧石は、目の前の鍋から卵を口にすると、
「あちい!!」
と叫びながら、立ち上がる。

「だ、大丈夫ですか」
牧石は近寄ってくる小早川に対して、箸を持った右手で押しとどめると、
「み、水をください」
「は、はい」
小早川は、近くにある給水機から水を入れる牧石に手渡した。

『牧石君、猫舌なんだ。
あわてぶりが、かわいいなぁ』
牧石が小早川から水を受け取ったとたん、頭の中に小早川の声が直接届いた。

『でも、猫舌なのに鍋好きって、変わっているかも?』
「ええ、大丈夫です。
ありがとう」
水を口にした牧石は、落ち着きを取り戻すと小早川に答えた。

「確かに僕は猫舌ですけど、鍋好きであることとは両立可能だと思っています」
「!」
小早川は牧石の言葉に驚愕の表情を見せたが、牧石は気づかず話を続けた。
「卵では無理ですし、行儀もよくないですが、ラーメンをすすりながら食べるときと同じように、空気を取り込みながら食べると猫舌の人でも食べやすくなります」

牧石は、美味し
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