レベル2 とうし を してみよう
第1話 転入生
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石はこの女子生徒のことを、気にはなっていた。
牧石が、生徒の名前で覚えているのは目黒だけだった。
「樫倉です」
「樫倉さん。なんの用ですか?」
「委員会のことなのだけど、どうするかと思って……」
この学校の規則として、編入してきた生徒はなんらかの委員会に入る必要がある。
これは、サイキックシティでの学生生活に慣れるための措置であり、1年間続ける必要がある。
部活動を行う生徒に対しては、軽減あるいは免除されたりするそうであるが、部活に入らない牧石は委員会で活動することになる。
比較的重要な話ではあったが、牧石には先約があった。
「ごめんなさい。
これから、用事があるので」
「そうなの」
「明日なら、空いていると思うから」
牧石は、申し訳なさそうに話すと、教室を後にしようとする。
「目黒君と一緒の用事なの?」
「目黒?
いや、目黒は生徒会に用事があると言っていたし、今日早く帰る理由は能力の検査のためだから、目黒と会う機会はないね」
牧石は、樫倉が牧石に対して目黒のことを質問した理由を少しだけ考え、自分が今日クラスメイトと会話したのは目黒だけであるという事実を確認し、納得する。
だが、帰りは今牧石が説明したとおり別である。
帰り道も違うので、一緒に帰ることはほとんどないだろう。
「生徒会?
目黒君は、またなにか企んでいるようね。
じゃあ、また明日ね」
「さようなら……」
樫倉は牧石の返事を待たずに、先に教室の外へ飛び出した。
「ごめんなさい。
牧石君」
牧石から今日の出来事を聞いた磯嶋は、第4室と呼ばれる部屋の中で申し訳なさそうにつぶやいた。
「何を謝っているのですか?」
牧石は、磯嶋の言葉に疑問を呈した。
「せっかくの運命の出会いなのに、邪魔をしてしまうなんてごめんなさい」
磯嶋は、神妙な様子で再び謝った。
「違うから、絶対に違うから!」
牧石の訓練が始まった。
「どうやら、牧石君には予知能力の才能があるようね」
磯嶋は試験結果を眺めながら、牧石に話しかける。
「そうですか。
ここ最近、カンが鋭くなったような気がしましたから」
「そうね。
あのグルーに、何も言わせなかったのだから」
「あれは、ただの偶然ですから」
牧石が頭をかきながら、質問に答える。
「偶然?
本当にそう思っているの」
磯嶋は真っ直ぐに牧石を見つめる。
「グルーは最強の超能力者よ。
予知能力を持っているわ。
あの展開を予想できなかったと思っているの?」
「そ、それは」
牧石はグルーとの出会いを思い起こす。
サイレベルの低い牧石でも、グルーが持つ力が尋常でないことを感じ取っていた。
あのグルーが、結果を知らずに相手をするとは牧石は思わなかった。
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