第7話 レベルアップ
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は、牧石のそばに近寄ると、小さな声でささやいた。
「……」
「あら、私のことは大して役にたっていないという事かしら」
磯嶋は悲しそうな表情を見せる。
「……。
そうではありません。
ただ、まだ合格したわけではありませんから」
牧石は慎重に言葉を選びながら答える。
「そうね。
ということは、合格したら私のささやかなお願いを聞いてもらえるということね!」
磯嶋はこれまでにないうれしそうな表情を見せた。
「……。
わかりました」
牧石は、観念した表情で頷いた。
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「〜♪」
牧石は、携帯電話のメール着信音に反応して画面を確認する。
送られてきたメールの内容には、編入試験合格の文字が大きく記載されていた。
牧石は編入に必要な手続きを読みとばして、自分が合格したことを4人に知らせる。
すぐに4人からメールが帰ってきたが、牧石が内容を確認しようとしたところで、部屋の入り口からブザーがなった。
「入るわよ〜」
磯嶋が牧石の返事よりも前に入室してきた。
牧石は、編入試験の日から、白衣を身につけていない磯嶋の姿にもようやく慣れた。
そして、牧石は磯嶋との約束を果たすため、覚悟を決めて磯嶋に呼びかけた。
「……姉さん」
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「グルーさん」
スーツ姿の男性がグルーの前に現れた。
「私のやり方に、文句を言いに来たのかい。忙しい中をご苦労なことだ」
「誰が来たのかわかると言うことは、驚きがないと言うことですよね?
さみしくありませんか」
「そんなことはない」
グルーは否定した。
「たとえば、君がここに来ることを1年前に予知したが、そのことを知ったときはすごく驚いたよ」
「なるほど、予知した当時は驚くということですか?」
「それに、予知にも限りがあることくらい君も知っているだろう?」
スーツの男は、何かを思い出すような表情で話し出す。
「ええ、確か「明日を知る男」の話ですか。
明日1日の行動を知るためには、今日一日を全て費やす必要がある。
だからその男は死ぬまで、「毎日部屋の中で翌日の行動を予知し続けている」ということを予知し続けるという話ですね」
グルーはうなずいた。
「極論すれば、そういうことだ。
無論、効率化を図ればそんなバカな事はする必要はないが、そうなると予知が曖昧になる」
「予知能力の不確定性原理ですね」
「学者たちが、そう名付けたのは知っている」
グルーの表情に変化はみられない。
「では、私が何故彼をレベルアップさせたのか質問することも承知していますね?」
「君が
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