第7話 レベルアップ
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を見て、自分が編入試験の受験票を部屋に忘れたこと、そしてこれから自分のところに向かうことを知った。
牧石は、メールの内容と急激に近づいてくるエンジン音を根拠にして、磯嶋の車の色を言っただけである。
電気自動車が一般的なこの都市で、磯嶋が運転するようなガソリン車は、ほとんど存在しないのだ。
牧石は、車の中で磯嶋に説明すると、
「グルーに限ってそんな甘いテストをするはずはないと思うけど……」
と、磯嶋はしばらく考えていたが、
「もうすぐ到着よ、口を閉じて舌を噛まないように!」
磯嶋は鮮やかなドリフトを決めると、試験会場に車を横付けする。
「がんばってね」
周囲からの視線が集中する中、優雅に手をふる磯嶋から逃れるように、牧石は受験会場へと急いだ。
磯嶋のおかげで、ぎりぎりで試験に間に合った。
試験会場である教室に入ったとき、目つきのするどい試験官や、様々な制服を着た受験生達からの視線が集中したが、もうすぐ試験がはじまるということで、すぐに視線が戻った。
牧石は、自分以外の受験生が全員夏服であることに、少しだけ違和感を覚えたが、すぐに試験に頭を切り替えた。
試験の問題は、自室で問題を解くときに比べて少し時間がかかったが、それでも解答欄の大部分を埋めることが出来た。
午後からは、超能力の実技試験が始まった。
編入試験の願書を提出する際に、サイレベルを1と申告していたが、実技試験のときにサイカードを見てもらったところ、
「牧石君、レベル2になりましたね。おめでとう」
と、試験官に言われて、牧石は驚いた。
いつのまにレベルがあがったのかと首を傾げる牧石に対して、試験官は、
「実技試験を課すのはレベル1以下の人ですから、レベル2のあなたは実技を免除します」
といって、帰ってもいいと告げられた。
牧石は、朝からのどたばたで疲れていたので、素直に試験官の指示に従った。
「……、という感じでした」
「とりあえずは、お疲れさま」
編入試験が終わり自室に戻ろうとする牧石の目の前に、磯嶋の姿があった。
今日は研究所でも白衣を着ないのかとどうでもいいことを質問しようとする牧石よりも先に、磯嶋が話を聞きたいと、食堂まで引っ張られた。
食堂のお姉さんから、
「ここは、デートの場所ではありませんよ」
という言葉を二人は無視し、磯嶋は牧石に試験の感触を質問していた。
「磯嶋さんの助けが無かったら、編入試験に間に合いませんでした。
ありがとうございます」
牧石は素直にお礼を言った。
「そうね、私の助けがなければ、合格は出来なかったでしょう」
磯嶋は、普段とは違う表情をみせていた。
「本当に感謝の気持ちがあるのなら、私のお願いをきいてくれるかしら?」
磯嶋
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