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とある誤解の超能力者(マインドシーカー)
第10話 最後の手段
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抜きされるから」
磯嶋は、やさしい笑顔でほほえんだ。

「磯嶋さん」
「どうしたの、牧石君?」
「一つお願いがあります。
卒業試験を受けるために必要なことです」
牧石は思い出して、磯嶋に振り返る。
磯嶋は、牧石の言葉に眉をひそめる。
「試験の改竄や答えのハッキングは無理よ。
超能力が解析されるうちに、超能力を使用した犯罪等が発生することが予測されたわ。
それに対抗するために、法律、警察、設備、能力を整備していったわ。
そして、能力開発センターにあるこのコンピューターの能力測定プログラムは、それこそ神様でもないかぎり勝手に操ることは不可能よ」
「それ以前のお願いです。
部屋の入り口のサイロックを解除して欲しいのです。
遅刻するわけには、いきませんから」
「……そうね」
磯嶋はうなずいた。




卒業試験の日。

コンピュータールームには、牧石と磯嶋、そして天野がいた。
「今日で磯嶋の見納めだな。
自室はもう、片づけたのかい?」
磯嶋は、天野を睨みつける。
さすがに今日は、白衣の下にスーツを身につけていた。


牧石は、試験を開始する前に、ほほえみながら磯嶋に宣言する。
「最後の手段を使います」
「最後の手段?」
「この後に及んで何をするつもりだ?
一度も当てたことのない人間が?」
牧石は、天野の声を無視して話を続けた。
「磯嶋さん。
僕は、磯嶋さんのことを信じています。
だから、この方法であればきっとうまくいきます」

牧石は、最初の講義の内容を思い出しながら、瞑想に入る。
コンピューターが計測する数値は、これまでにない高い数値を刻んでいる。
「……すごいわ」
データには、これまでのトレーニングの成果が現れている。

「ふん。
これまでも、同様の状態で一度も当てていないと聞いている。
今更何ができるのだ?」
天野は忌々しそうにデータを眺める。

「そうだな。
僕にできることは、そんなにはない」
牧石は、集中を切らさずに静かにつぶやく。

「だからこそ、基本を忠実に行います」
牧石は、目の前に出されたカードの透視を試みる。
「波です」


この日行われた牧石の試験結果は、後世にまで伝えられることになる。
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