第3話 早とちりしたままでの転生
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れる理由が、牧石には理解できなかった。
「私が少年を呼んだ理由は特にない。
偶然事故で死んだ人間を呼び出しただけだ」
「そうですか」
牧石は、自分の服装を再度確認し、納得する。
青年は、いつのまにか取り出した資料を見ながら、お経でも読んでいるような口調で答える。
「ただの人間である少年を復活させ、元の世界に戻すことはできない。
死んだ人間を復活させるには、死んだという因果の鎖を引きちぎる必要がある。
だが、それを行うためには、多くの神々が賛成しなければならない」
青年は、資料を1枚めくり、話を続ける。
「昔のように、人の交流が少ない場合は、それぞれの地域で、それぞれの神様が好きに行っていたそうだ。
大昔に行われた神々の戦いを機会に、ルールが作られ、単一の神だけでは、復活ができなくなったそうだ」
そこでだ、と青年は言いながら、資料を3枚ほど戻すと、
「少年が住んでいた世界の人間が、創作した作品世界を用意した。
少年には、これからとある世界に転生してもらうことになる」
「「とある世界」ですか?」
「そうだ。そこでは科学と超能力とが融合している世界だ」
牧石は、神様と名乗る人物に対して、初めて感謝の気持ちが募った。
牧石は、中学時代に「とある魔術の禁書目録」のアニメを見てはまっていた。
超能力と科学が融合した「学園都市」を舞台にした物語。
幻想殺し(イマジンブレーカー)と呼ばれる、あらゆる異能を打ち消す力を持った主人公。
主人公の前に現れた、魔術師サイドの少女との出会いから動き出す物語。
目の前で苦しむ人をただただ助けたいという、主人公の純粋な姿勢。
青臭い理想論だが、それだけに多くの敵対者の心を揺さぶる、主人公の説教。
物語に登場する、魅力的な登場人物たち。
アニメ2期までの内容は全て録画して、何度も繰り返し見ている。
小説も読むつもりだったが、受験を控えていたことから自粛をしていた。
高校入試に合格すれば、原作をまとめ買いする約束を両親としていた。
どうやら、その約束が果たされることは無いようだ。
ひょっとしたら、今頃仏壇の前に供えられているかもしれない。
供えられていても、読むことは出来ないが。
「少年よ、あきらめていいのかい?」
青年は問いかける。
「少年には、転生特典として、人間を越える可能性を与えられる。
神と同等の力を得たならば、制限がかかるが、元の世界にいくことができる。
その意味は、わかるだろう?」
牧石はうなずいた。
「とある世界」ではレベル6に到達することで、人間を超越し神の領域に到達すると考えられていた。
そうなれば、元の世界に戻れる。
自分を騙した、瑞穂一樹を殴ることもできる。
両親とかわした「とある」一式を買っても
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