第3話 早とちりしたままでの転生
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「お目覚めかね、少年」
牧石は意識を取り戻すと、豪華なベッドで寝かされていたことに気づく。
周囲は、白い床に、何もない白っぽい空間が広がっている。
目の前には、銀髪で長身痩躯の好青年が白衣を着て僕を見下ろしていた。
青年の右手には、小さな白い杖が握られている。
「ここは?」
牧石は、トラックに跳ねられたことを思い出し、目の前の青年に尋ねる。
青年の目を眺めると、左右の色が違うことに驚いた。
右目が青く、左目が金色。
このことが何を意味するのか理解はできないが、違和感だけが増幅されていく。
「ここは、私が住む庭園の一部だ」
なぜ、牧石は庭に寝かされているのかとか、なぜ庭にベッドが置いてあるのかという質問を自制し、
「ここは、病院ではないのですか?」
と、青年に質問する。
牧石は、薄れゆく意識の中で、トラックにはねとばされたことをは記憶していた。
その割には、身につけている学制服にも汚れが無く、体の損傷や痛みも感じない。
そのことに、違和感を覚えたが、目の前の青年に確認をする。
「少年は病院に運ばれたが、救急車が到着する前に、既に死んでしまっていた」
「……。死んでしまっていた?」
牧石は、相手の青年の言葉が理解できず、そのまま質問を続けた。
「そうだ。
少年の魂に、仮の肉体を与えて、こちらに召還したのだ」
「召還。
ということは?」
牧石は、青年を眺めた。
「いかにも、私は神様だ」
「神様……」
牧石は、神様と自称した青年をあらためて観察する。
青年の姿は、整った顔立ちなど美青年と呼ぶにふさわしい姿だが、かすかな猫背や右手に握る小さな杖をぐるぐる回すような動作で、評価を落としている。
必要以上に左手で髪をかきあげるのも、好感度を下げる要素だ。
「疑っているのか、少年よ?」
青年は立ったままの姿勢がつらいのか、たびたび足の位置を動かしている。
座ればいいのに。
「疑っていませんが、どうして?」
「何となく、そのような気配を感じ取ったからだ」
「……」
牧石は黙っていた。
目の前の人物が神で、自分の考えが読めるのであれば、なぜ会話をしているのかを考えているからだ。
「心配する必要はない、少年よ。
私は、少年の考えを読むつもりはない。
読まれる立場には、配慮したい」
牧石の考えを配慮したような発言ではあるが、それだけでは牧石の考えを見抜いたという疑惑は晴れない。
「そろそろ、本題に入りたいのだが」
「そうですね。
どうして、僕はここに呼ばれたのですか?」
牧石は、神様と名乗る青年に質問する。
神様と言えばそれなりに偉い人なわけで、全世界で毎日発生する多くの死者から、取り立てて偉業を成し遂げたわけでも無い自分が呼ば
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