第2話 合格発表の会場で
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り付けた。
掲示板に人が集まり、多くの歓喜の声が聞こえる。
牧石は、決意を胸にして、たった今張り出されたばかりの掲示板に、自分の受験番号があるかどうかを確認する。
「良かったな、牧石。合格おめでとう」
瑞穂は牧石の肩に手を置いてもう片方の手で、掲示板の一点を指し示す。
「420番」
牧石の受験番号だ。
もう一度、自分が手にしている受験票の番号を確認する。
「420番」
間違いなく、牧石自身の受験番号だった。
牧石は瑞穂の手を振り払うと、瑞穂に向き合う。
「おめでとう、牧石」
瑞穂はもう一度祝ってくれた。
「瑞穂は?」
「一つ上を見てみろ」
420番の一つ上は419番であった。
瑞穂は牧石の受験した席の、一つ前の席で受験していた。
「……おめでとう、瑞穂」
「まあ、当然の結果だ。
・・・・・・弟子が合格して、師匠が不合格などというオチは不要だ」
瑞穂は牧石にとって勉強の師匠であった。
受験に向けて、牧石は瑞穂と一緒に勉強をしていたが、実際に受験勉強をしていたのは牧石だけで、瑞穂は牧石を相手にして、人に物事を教える勉強をしていた。
瑞穂の話では、牧石の最大の欠点として、「早とちり」を指摘していた。
「設問を誤解すれば、誤った答えしか出ない。点数が大きく上下する理由はこれだ」
「そうか」
「裏を返せば、適切な推測さえできれば、いわゆる「一を聞いて十を知る」状態になるので、君の方法を全て否定するわけではない」
瑞穂は牧石を見つめると、
「逆に、解答速度の向上という面では、必要不可欠だ。あとは、正しい解答を得るためには何が必要で何が不要かを見極めればいい。それは、人生経験を積むしかないだろうがな」
瑞穂は、眺めていた本を閉じると話を続ける。
「まあ、君の解答速度なら、全ての問題を解いてから問題を読み直しても、問題ないだろう」
「瑞穂の速度には、かなわないけどね」
瑞穂は試験の時間はいつも半分の時間で終わらせて、残された時間はいつも寝ていた。
それは高校入試の時も変わらなかった。
「まあ、俺の事は気にするな。
牧石には、牧石の目的を果たせばいい」
「ありがとう瑞穂」
「お礼なら、合格してみせる事で応えてくれ」
「ああ、そうだな」
牧石は、瑞穂の指導を受けながら勉強を続けた。
それは、合格という結果で報われた。
「師匠か。そうだな、瑞穂」
「そういうことだ。それに」
瑞穂は視線を、牧石の右側に移す。
「佳奈も合格している」
視線の先には、冴嶋佳奈がいた。
彼女は、喜びに満ちた表情で、牧石たちを見ていた。
「かずき〜。
どうだった?」
牧石は、冴嶋の話し方に驚愕する。
冴嶋は、クラスで親しい友人にもそのような話し方をし
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