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魔術QBしろう☆マギカ〜異界の極東でなんでさを叫んだつるぎ〜
第2話 これだけは伝えておこうかな
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れかけた思考を軌道修正して、しろうは今日までの戦いを思い返す。ある程度まで戦闘用の動きができるようになってからは、しろうは魔女との戦いに赴いていった。初めの内は使い魔との小競り合いで経験を積んでいき、それから大した間を空けることなく魔女そのものとも戦うようになった。あまりに多種多様で脈絡のない能力を持つ者が多い魔女たちとの戦闘は楽なものではなかったが、投影宝具が魔女に対して十分に有効だったため不利な戦いは多くなかった。

 その上、幸いだったことが1つある。それは、投影した宝具にほとんど劣化が見られないことだ。これは、恐らくこの世界に魔術が存在しないことに起因しているのだろう。しろうの投影した魔術には、どうしても世界の修正力が働く。魔力により無から新たな物体が生み出されることによる修正力に加え、宝具という規格外の代物が2つ存在するという矛盾から更に大きな修正力が掛かる。そのため、しろうの投影する宝具はどうしてもランクが最低1つ落ちてしまうのだ。

 しかし、この世界に魔術のような神秘はなく、英雄たちの伝説は本当の意味で伝説でしかない。そのため、そもそも宝具の真作というものが存在しないのだ。それはつまり、しろうの投影する宝具が唯一無二の真作となることを意味する。元々宝具は人間の幻想により作り上げられ、人間の信仰を力とする武装。真作がない以上、宝具ごとの知名度に応じただけの信仰を、しろうの投影品は独占することができるのだろう。それ故に、この世界でしろうの投影品に掛かる修正力は最低限のものにとどまっており、真作と比べてほぼ遜色のない性能を発揮できるのだ。

 しかし、問題がないわけではない。しろうの頼みにしている宝具の1つである“赤原猟犬(フルンディング)”が、魔女との戦いでは通じないのだ。元々、赤原猟犬はベオウルフ叙事詩に語られる剣である。叙事詩に曰く、怪物グレンデルを倒した英雄ベオウルフにデネの王フロースガールが赤原猟犬を下賜し、それを携えてベオウルフはグレンデルの母親である水魔との戦いに赴いた。しかし、水魔にはこの名剣が全く通用しなかったのだ。赤原猟犬が戦いにおいて役に立たなかったのは、この時が初めてだったという。

 この伝説が、赤原猟犬のネックになっていた。太陽剣グラムがファフニール竜を退治した逸話から竜殺しの概念を帯びたのとは逆に、水魔との戦いでダメージを与えられなかった赤原猟犬は怪物が相手だと攻撃力が著しく下がるのだ。その上、グレンデルもその母親も世界最初の殺人者であるカインの末裔、即ち人間にその起源を持つ。人間から変異した怪物である魔女との相性は、ますます悪いだろう。事実、矢として赤原猟犬を放った際には、ほとんど傷つけることができなかった。

 強力な武器を1つ失い、英霊であった頃はおろか衛宮士郎であった頃と比べてさえ遥かに脆
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