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魔術QBしろう☆マギカ〜異界の極東でなんでさを叫んだつるぎ〜
第2話 これだけは伝えておこうかな
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して、しろうはその燃え盛る霊剣を以って――薪に火をつけた。

 瞬間、4リットルの空き缶に詰まった木材の破片が、激しく燃え上がる。仏教において最強クラスの霊剣を100円チャッカマン扱いできるところが魔術使いの神経である。何処かであかいあくまの咆哮が聞こえるのは、気のせいだと思いたい。そして、その中に投影した粘土と山地まで行って採ってきた蓮の葉で隙間なく包んだ、ハトの肉を入れる。そうすることで、粘土に覆われた鶏肉が蒸し焼きされるのだ。

 乞食鶏(こじきどり)という中華料理の技法で昼食を作りながら、しろうは自分の現状に思いを馳せる。
 この肉体に押し込められてから、既に2年以上経っていた。そのため大分この身体の使い方にも慣れてきたが、やはり筋力やストライドなどの点で英霊の肉体よりも大きく見劣りする。しかし、その一方で自分の現状を引き起こした張本人、マギカの抑止力にしてみれば、こうするより他になかっただろうことも解っていた。

 通常、英霊の現界には膨大な魔力を要する。幾ら抑止力といっても、私的なことでその膨大な魔力を用意することはできなかったのだろう。しかし、英霊を押し込める器があるとすれば話は別だ。ギルガメッシュが受肉したこと、つまり現世で活動するための殻を手に入れたことで現界を続けられたように、霊体でない現実的な身体さえあれば英霊を長期間現世で維持することは不可能でない。聖杯戦争のマスターの様な外部の依代(よりしろ)ではなく、完全にその内部へ英霊を宿す新たな肉体。そのような器の条件として、このインキュベーターという生物はぴったりだった。生き物でありながら、種族全体で1つの意思を共有しているために個々の魂が希薄なこの生物は、新たなる魂を肉体に上書きすることが比較的容易だったと思われる。

 そして、しろうはこの小動物じみた身体で新たな生を受けた。今では、耳毛だけでなく尾まで器用に手の代わりとして使える。何か元人間として大事なものを失くしているような気がするのは、そっと目を背けた。嗚呼、血潮は鉄でも心は硝子。それはともかくとして、インキュベーターの肉体に慣れてきた一方、しろうはこの身体のある機能だけは使えずにいた。それは、魔法少女との契約だ。英霊の魂という異物が込められたせいか、魔術回路をむりやり植えつけた影響なのか、あるいはマギカの抑止力が改造したのか、しろうは何故か人間の少女と契約する能力を発動できなかった。

 もっとも、それで何か不都合があるわけではないので、特段問題視もしていない。少女たちにいつか魔女と化す運命を負わせるつもりはない上に、宇宙人の技術というわけのわからない代物で第三魔法を魔術に貶めたりしたら、それこそ某遠坂家6代目当主に殺されかねない。そのついでに、今の自分の姿をどれだけ笑われることだろうか。

 横道にそ
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