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魔術QBしろう☆マギカ〜異界の極東でなんでさを叫んだつるぎ〜
第2話 これだけは伝えておこうかな
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女の両腕を捕らえた。その狙いの正確さは、明らかにそれが偶然でなく実力によるものであることを告げている。先程までの狙撃は、当たらなかったのではなく魔女に当てるつもりがなかったのだ。魔女への牽制のため、そして罠を仕掛けるために。
 そして、それを放ったインキュベーター自身は魔女へと駆け出し、跳躍する。
壊れた幻想(ブロークンファンタズム)
 そして、先程と同じ言葉が告げられ、魔女に刺さった剣が爆発した。その爆風をパラシュートの如くインキュベーターの外套が受け、その跳躍を更に高める。

「―― I am the bone of my sword(我が骨子は捻じれ狂う)
 魔女の頭上5メートル辺りを舞うインキュベーターが、耳毛に新たな剣を握る。螺旋状に捻じれた、大振りの歪な西洋剣。魔女を眼下に見据えながら、それが弓につがえられる。途端、強大な威力がその剣に集中していった。
「“偽・螺旋剣(カラドボルグ)”!」
 言葉とともに、矢が射られた。烈しい雷電をまといながら、放たれた剣は魔女へと一直線に突き進む。魔女にそれを防ぐ手段はなく、螺旋状の刃は魔女の頭を突き破った。
 荒れ狂う雷は魔女の身体を噛み千切り、着弾の衝撃は魔女の血肉を吹き飛ばしていく。そして、魔女の身体を貫いていく刃がその体の中心に達すれば、その刀身が爆ぜた。大爆発により魔女を粉微塵に砕け散り、主を失った結界も揺らいで消えていく。その揺らぎが収まった時、周囲は何の変哲もない夜の公園へと変わっていた。

 後には、勝者たる鷹の眼のインキュベーターと、そして黒く、絶望の気配を漂わせる結晶の様なものが残される。そして、インキュベーターはその結晶を耳毛で拾い上げた。その丸く、下側に針状の棘、上側に取っ手の様なものが付いた結晶、“グリーフシード”を見て、インキュベーターは僅かな憐憫の色を瞳に浮かべられる。しかし、それも一瞬。すぐにその眼は鷹の様なそれに切り替わる。
同調、開始(トレース・オン)
 短く告げられた言葉とともに、グリーフシードの放つ気配が変わった。そこに秘められた絶望の深さとでも呼ぶべきものが、より強まっている。

「あー!?」
 耳毛の中のグリーフシードの変化をインキュベーターが確かめていると、彼の背後に新たな影が現れた。
「もう、また先越されちゃった」
 それは、1人の少女だ。10代前半と思わしき、ドレスと軍服の中間の様な格好をした少女が、憮然とインキュベーターに駆け寄ってくる。少女とインキュベーターの距離が縮まる中で、少女の服が俄かに光に包まれだした。やがて、少女が外套のインキュベーターのすぐ傍まで来ると、彼女の服は何処かの学校の制服らしきものに変わっており、その手には卵型の宝石が握られていた。魔法少女の証たるその宝石、“ソウルジェム”を握りなが
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