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ルサールカ
第二幕その一
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んじゃうし」
「けれどまさか」
 あの王子様に限って、と言おうとした。だが大きなメイドは冷めた目で言う。
「裏切っても駄目なのよ」
「裏切っても」
「悲しませてもね」
「それじゃあ人間と付き合うよりずっと難しいじゃない」
「だからなのよ。今までうまくいった試しがなかったのは」
 彼女は小さなメイドに言う。
「少しでも過ちを犯せば死ぬのはこっち」
「だから付き合えない」
「誰もね。それこそ奇跡が起こらない限り」
「奇跡、ね」
「そんなの滅多にないでしょう?だから奇跡なのよ」
 彼女の言葉までも冷めていた。
「有り得ないことだから」
「そうなの」
「じゃあ私達は現実のことをしましょう」
 同僚に仕事を急かす。
「お皿の次はお酒よ」
「もうコルクは抜かれてるかしら」
「そろそろね。だから余計に急がないと」
「わかったわ。それじゃあ」
「ええ、急いで」
 彼等はいそいそと仕事をしていた。その中で他の者達もそれぞれの仕事をしている。彼等もまたヒソヒソと話をしているがそれはやはりルサールカについてであった。
「何者なのか」
「本当に人なのか」 
 そうした話ばかりであった。彼等もまたルサールカに目を向けていたのだ。だが。彼女が何者であるのか、確かに知ることは適わなかったのだ。誰にも。
「おかしなことだ」
 王子はその中で従者に対して話していた。彼は今自室にいた。王子の部屋にしてはかなり質素な部屋である。あまり派手な装飾もなく落ち着いたものであった。

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