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Report3-2 アキレウス/ハイライト
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げた。ユティも真似をする。
(商談中のアルおじさま、カッコイイ。役得)
「束縛される生活がイヤで逃げ出したらしいですよ。動物の生態に詳しい知り合いが言ってました。たまには自由にさせてやったほうがいいかと」
(イバルの獣隷術でって言わない辺りは、さすが。エレンピオス人には馴染みのない、もしくは忌避されうる技術を無暗に口にしない。彼はエレンピオスとリーゼ・マクシアの距離感を心得てる)
「そうでしたか……すまなかった、ユリウス。これからは自由に出歩いていいよ。ワシのもとに帰ってきてさえすれば、な」
白猫はご機嫌な鳴き声を上げた。
「いやはや、お恥ずかしい。猫だけが生き甲斐の年寄りなのですよ。20年ほど前に娘二人を立て続けに亡くして以来――」
「ご愁傷様です」
「孤独な年寄りですが、わずかばかりの資産もコネクションもあります。お礼を差し上げましょう」
「いえいえ、結構ですよ。そういうつもりで来たんじゃありませんから」
「そういうわけには。そういえば貴方もご自身の商会をお持ちとか。どうでしょう、謝礼の代わりに一つ商売の話でも」
アルヴィンとマルクスの商売談義が始まった。アルヴィンとユルゲンスの「リーゼ・マクシアとエレンピオスの架け橋を目指す」という社訓(?)が慈善事業に通じるところがあったのか、話は弾んだ。
ユティは話の切れ目を見つけるべく、耳を研ぎ澄ませていた。そして来たその瞬間、この席で彼女は初めて声を上げた。
「その猫を見つけてくれた人から、伝言を預かってきました」
ひとつ、深呼吸をする。叶う限り、ユリウスが言葉に込めた想いがマルクスに届くよう願って。
「『心配をかけてすまない。あなたの孫は元気でやってる』」
マルクスが大きく息を呑んだ。
「なに? じゃあこいつ見つけたのって、マルクスさんの孫!? ……偶然ってこえー」
「ワタシも今日しみじみそう思った。――マルクスさん」
すっく。立ち上がり、カメラを持つ。上からの視点で、サングラスの奥の彼の目がどこかユリウスに似ていると気づいた。
「ワタシ、趣味で写真をやってるんです。マルクスさんさえよろしいのでしたら、一枚撮らせてくださいませんか。確かにお届けしたって、あの人に伝えるために」
ユティは頭を下げる。マルクスがまじまじとユティを見ているのを感じる。
「……分かりました。こんな老いぼれの写真でよければ何十枚でも撮りなされ」
「ありがとうございます」
ユティはアルヴィンを見下ろした。
「少し時間かかると思う。レイアへの報告、お願いして、い?」
「言ってなかったのかよ! それじゃレイア、ずーっと一人で猫探ししてたってことか?」
「――――」
「あー、分かった分かった! 責任
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