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Report3-2 アキレウス/ハイライト
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た。未成年女子のユティより、風体は怪しくとも成人で商会を持つアルヴィンのほうが相手の信用を得やすいからだ。
「申し訳ありません。大旦那様は今お出かけ中でございまして。よろしければお預かりしますが」
「申し出は大変ありがたいんですが、彼女が、拾った人間からマルクス氏に言伝を頼まれていましてね。できればマルクス氏に直接お渡しした上で伝えたいと――」
「お願いします」
ユティは白猫を抱いて一歩前に進み出た。
「本当に、本当に大事な伝言、マルクスさんの大事な人から、預かってるんです。マルクスさんに直接届けさせてください。お願いします」
ユティは腰を直角に曲げた。
お手伝いさんはついに折れて、ユティとアルヴィンを屋敷の中に上げてくれた。
二人(と一匹)は応接間らしき部屋に通され、茶と茶請けの菓子を頂きながら待つことになった。
「それにしてもビビったわ」
「なぁに?」
「おたくがあこまで熱心になるとこ、初めてだったからさ。言伝頼んだ奴、知り合いだったり?」
「熱、心。ワタシ、が」
ユティはティーカップをソーサーに置き、戸惑った。ユリウスにも「顔に不満が出ている」と指摘された。
(ここのとこ表情筋コントロールに障害を来すような出来事はなかったはずだけど。まだ正史の環境に慣れてないからかしら。いずれにせよ、一日に間を空けず二人もの人間に指摘されたデータからそれは真実。気をつけなくちゃ。ぼーっとして拘りが分からない、それがユースティア・レイシィのキャラクターなんだから)
ドアのノック音。ふり返る。お手伝いさんがドアを開けて、一人の老人に道を譲った。側頭部だけに白髪が残った禿頭、黒いサングラス。
(あのおじいちゃんが、お前のご主人様?)
(ニャー♪)
アルヴィンが立ち上がる。ユティも立とうとしたが、白猫が膝に載っていてきなかった。
「勝手に上り込んですみません」
「いえいえ。我が家の猫を連れてきてくださった方々ですな?」
「はい。『ユルゲンス=アルフレド商会』のアルフレド・ヴィント・スヴェントです。あちらはユースティア・レイシィ。お会いできて光栄です」
アルヴィンとマルクスは和やかに握手を交わしてから、それぞれソファーに座った。お手伝いさんがマルクスの分のお茶と茶請けを置いて出て行った。
するとユティの膝に陣取っていた白猫が起き上がった。白猫はユティの手を一舐めすると、正面に座るマルクスのもとへ行って足にすり寄った。
「おお、ユリウス。やっと帰って来てくれたか」
「一度はご依頼通り『デイリートリグラフ』の記者が見つけたんですが、当方のミスで逃がしてしまいまして、お届けするのが遅れてしまいました。本当に申し訳ありません」
アルヴィンが殊勝に頭を下
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