暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝
第百十八話 瓦その一
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
                  第百十八話  瓦
 信長は思慮に思慮を重ねていた、そのうえでだった。
 相談役にしていた森と池田にこう言った。
「今じゃ」
「今ですか」
「今行われますか」
「やることはもう決めておった」
 それは既にだというのだ。
「しかしそれでもじゃ」
「その行う時ですか」
「それが問題でしたか」
「そうじゃ」
 そのことについて考えていたというのだ。
 そして信長は確かな顔になりその上で二人にこうも言った。
「晴れの日に傘をさしても何にもならぬな」
「ただ間抜けなだけですな」
 こう返したのは森だった。
「それでは」
「そういうことじゃ、雨の日には傘は必要じゃが」
「晴れの日にはですな」
「晴れの日には日傘じゃ」
 日差しを避ける為のものである。
「それが必要じゃ」
「普通の傘ではありませぬな」
「そうした傘は雨の日にこそ役に立つ」
「つまりどういったものでも使う時期」
「それですな」
「茶も寝る前に飲むものではない」
 目が冴えて眠れなくなるからである。
「起きた時や昼飯の後、座禅の前等は別じゃがな」
「茶は寝る前に飲むものではない」
「そういうことですな」
「うむ。しかし家中でも対立が起こったか」
「七人は全てあの者の敵になっています」
 加藤、福島を筆頭とする彼等はというのだ。ここで池田が困った顔になって信長に対して述べたのだった。
「恥ずかしい限りですが」
「古新のことじゃな」
「あ奴も七人の一人でございまして」
「そうじゃったな」
「若いのはいいのですが暴れ回る奴です」
 父とは違いそうなのだ。
「そえで」
「佐吉とも仲が悪いのじゃな」
「佐吉と仲が悪いというよりは」
 むしろだった。
「古新の方が一方的に嫌っております」
「そこは七人全員じゃな」
「はい、そうです」
「そこが厄介じゃな、佐吉は案外人を嫌わぬ」
「その様ですな」
「あ奴は己を偽らずそして言うことを言うだけじゃ」
 信長は石田の本質を見抜いていた、彼は決して媚を売る様な男ではなく毅然として言うだけなのだ、dがそれがだった。
「誤解されやすい」
「それが厄介ですな」
「佐吉をよく言う者も多い」
 その代表が大谷だ。それに小西もである。
「他にも莫逆の友は多いがそう」
「しかしですか」
「それでもなのですな」
「そうじゃ、その口に態度じゃ」
 誰に対しても一途であり歯に衣着せぬ、それが彼のをさらに誤解させていたのだ。
「あまりにも誤解されやすい」
「そしてその誤解を解くやり方を」
「考えておった。そしてじゃ」
「今、ですな」
「仕掛けますか」
「そうするとしよう。雨は降った」
 それは、というのだ。
「では傘を指そう」
「雨程
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ