リズベット武具店
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「おーいリズー?いるかー?」
シオンはあのあとアスナの家を用事があると早めにあとにし、そのあとは転移門を利用して四十八層主街区“リンダース"に来ていた。
そこのところに建っているのが水車が目印の“リズベット武具店"である。
そこの店主をつとめているのは若い女の子のリズベット。みんなからはリズの愛称で親しまれている。
そんなシオンもここの常連で武器の手入れ、製造はここでやってもらっている。
「あ、シオン。いらっしゃい!」
「どうだ?調子の方は?」
「まぁまぁかな。それよりも何の用?」
「ああ、剣の方はどうなってるかなーって。あとほいっ、差し入れ」
そう言ってシオンはリズに茶色い紙袋を手渡した。
「あんたの剣の方は順調よ。それよりもなにこれ?」
「グラタンパン。味は保証する」
「へぇー!あんたが作ったんだ」
「まぁな」
「それじゃあ、今度いただこうかな♪」
「ああ、感想期待してる」
そう言いながらシオンは自分の剣をリズに渡した。
その剣は濁りのない純白の剣だった。
「つー訳でコイツの手入れ頼むわ」
「はいよ。ちょっと待っててね」
そう言ってリズは奥の作業場に姿を消した。
シオンは待っている間、店内をうろうろしていたがしばらくしてリズのいる作業場に向かった。
作業場には回転砥石で剣を研ぐ音だけが聞こえる。そこには真剣な面持ちで向かっているリズの顔があった。シオンは邪魔しては悪いと思い、静かにその姿を見守ることにした。
しばらくしてリズは剣を研ぐのをやめ、剣の表面をじっと見たあとその剣を鞘に収めた。
「これでよし、ってうわあ!!」
「おう、おつかれ」
「あ、あんたいつからそこに!?」
「わりと数分くらい前だけど。やっぱり集中しちゃうと相変わらずだよなリズって」
「う、うるさいわね!しょうがないでしょ!」
「まあいいや、ありがとな。とりあえず、今日の攻略でだいぶ前に進んだからな。そろそろ武器の手入れ、しとかないとな」
シオンは受け取った剣を肩にかけながら言った。そして回転砥石の隣の作業机の上に置いてあるライトイエローのインゴットを見た。
「これからか?」
「うん、まあやるだけやってみるわ」
「見ていってもいいか?」
「いいわよ。ついでにできたら試してみて」
「りょーかい」
リズはインゴットを炉のなかにいれ、焼いている間に準備に取りかかる。しばらくしてインゴットが焼き上がると、ヤットコで取りだし、金床の上においた。
そしてハンマーを大きく振りかぶり、赤く焼けた金属を叩きはじめた。
作業場には金属特有の音だけが響く。ひたすらその音を聞きながらシオンはリズの姿をじっと見ていた。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ