ラウラ・ボーデヴィッヒ
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い者に大きな衝撃を確かに与えた。
では、彼等が動揺しているのは切嗣がラウラを倒したからか?地に倒れ臥したラウラの姿が信じられなかったからか?
違う。全てが逆だからだ。
この試合、勝利を掴んだのは切嗣だ。そう、その筈だ。ならば何故、地に臥しているのも切嗣なのだ。
……切嗣は、敵が攻撃する一番の隙を突き、勝利を勝ち取った。しかし勝ちを掴みに行く瞬間、切嗣もまた攻撃に集中力を割いていた。
即ち、スコール・ミューゼルはその隙を突いた。ただ、それだけだ。
「ヒッ……」
ラウラの口から悲鳴が漏れる。彼女に覆い被さる様に倒れ込む切嗣から、ヌメッとした血が彼女の手を、髪を、顔を染める。
しかし、倒れる様に体を放っても、切嗣の目は見えない何かを見ていた。
「伏せろ!」
何かが揺らいだ、と見た瞬間、切嗣はラウラを押し倒す様にその身を凶弾から護った。
「ガハッ」
だが、代償は大きい。弾は肺を貫通し、腹にも大穴を空けていた。
「流石ね」
突如、何も無いところから声が聞こえた。切嗣達の預かり知らぬ事だが、彼女「スコール・ミューゼル」は光学迷彩服という、最近アメリカ軍が開発した隠密行動用の服を着ていた。
しかし、彼女は其れを脱ぐこと無く切嗣だけに聞こえるように囁く。
「私の名前はスコール・ミューゼル。最も偽名ですけど」
「貴様は……!」
地に臥して尚、その目からは怒りの炎が見えた。
「色々答えてはあげたいけど……残念ながら少し用事が在りますので失礼いたします」
パチンと指を鳴らす音が聞こえた。
「代わりにこの子達を置いていくので、私が戻って来るまでに逃げ切れたら貴方の勝ちという事で」
そして、アリーナに響いた声の音の残響が消えた。
――瞬間アリーナ全土が炎に包まれ、それが合図かのように大量のゴーレムVが地上に降臨した。
「では一旦失礼するわよ」
そう優しく、切嗣の耳をくすぐった。
「あ、ああ……」
しかし、彼女の置いていったモノはラウラを絶望させて余りある物だった。ゴーレムV、その数20機。今、彼等を取り囲む敵の数だ。
「急いで生徒を避難させろ!」
モニタールームに千冬の声が響き渡る。
「駄目です!何者かにハッキングさせられたようで隔壁閉鎖が勝手に作動しています!強力なプロテクトがかかっており、復旧には最短でも1時間は……!」
答える管制担当の声も上擦っている。その手は、残像を産む速さでキーボードを叩いているが、思うようにプロテクトが外せず泣きそうになっていた。
「くっ……」
珍しく千冬が苦悶の表情を見せた。
「織斑先生、一体どうすれば……?」
真耶が絶望に声を滲ませながら呟く。別に答えを期待し
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