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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一〜四章
一章 王宮の女戦士
1-12確信

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 溜め息をつき、ふらふらと床に舞い降りるホイミン。

 ライアンは、ホイミンを撫でる。

「ホイミン。よくやったな」

 ホイミンは、のろのろと顔を上げる。

「ライアンさん。ぼく、うまくできた?」

「私の言うことを、よく聞いた。最後まで、気を抜かなかった。初めてにしては、上出来だ」

 ホイミンとて、戦いの経験は、ひと並みにある。
 しかし、戦いとは常に命を懸けるものであるとは言え、魔物として戦ってきたホイミンには、これほどに強く、且つ、信頼のおける仲間はいなかった。
 少しでも危なくなれば逃げて、生き延びるのが当然だった。

 ゆえに、命の危険がある中で、これほど長く戦い続けたのは、初めてだった。
 これほどに、繊細な対応を求め続けられたのは、初めてだった。

 ライアンの判断を信じ、対応を続け、生き延びた。

 覚悟は、確信に変わり始めた。
 まだ、全てでは無い。
 でもきっと、間違って無い。

「えへへ、うれしいな。ぼくライアンさんのために、もっともっと頑張るねっ」

 自分のためかも知れない。
 ホイミンがいなければ、ライアンはもっと楽に戦えただろう。

 それでも、自分が頑張るのは、ライアンのためでありたい。
 それならきっと、頑張れる。

 ライアンは微笑み、再びホイミンを撫でた。


 元気を取り戻したホイミンが浮き上がり、ふたりは塔の探索を開始する。

 幾度と無く魔物たちに襲われ、ホイミンはますます戦いに、生き延びる手際に慣れて行く。
 位置取りも、回復の時機も、ライアンの指摘を受ける頻度が減って行く。
 慢心はしない、それが死に繋がることなど知っているし、自分を守るライアンの身までも危険に(さら)すことだ。


 塔の中で、王宮戦士のひとりに遭う。

「おお、ライアンじゃないか!?私も、あの古井戸を偶然に見つけて、ここまで来たのだが。」

 ライアンは、自分が調査の結果辿り着いた場所を偶然見つけるとは、人海戦術とはたいしたものだ、流石は陛下の采配(さいはい)である、或いは偶然というのは謙遜(けんそん)か、などと思っている。

 ホイミンは悲しそうに(うつむ)いている。

「この塔の魔物たちはとても強い!」

 ライアンは、ホイミンを見つめている。

「こんなことなら、古井戸の中にいた、ホイミンという奴を仲間にしてあげるのだったよ……。」
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