暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
サード・クォーター
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七十五層主街区【コリニア】の転移門広場には、すでに攻略チームと思しき、一見してハイレベルと判るプレイヤー達が集結していた。

レンが転移門から出て歩み寄っていくと、皆ぴたりと口を閉ざし緊張した視線を向けてきた。

それらの中には、決して友好的なものばかりではなかった。中にはレンを見て、ひそひそ話を始める者もいる。

その中の一人がおもむろにレンを指差して、友人と思われる傍らの男性プレイヤーにぼそりと言った。

「………何であんなヤツがここにいるんだ。このヒトゴロシが…………!」

そのひそひそ声の中をレンはとぼとぼ進む。

肩を誰かに叩かれて振り返ると、青紫色のチュニックとロングスカートが陽光の下で輝くように見えるユウキが無邪気に笑っていた。その横にはテオドラもいた。

「なぁんだ……ユウキねーちゃんとテオドラおば───」

「ああん?」

「───ねーちゃんか」

「なんだってことはないでしょー!」

ユウキが頬を膨らませて、憤慨したように言う。その横でからからと笑いながらテオドラが言う。

「ま、緊張をほぐしてあげようってユウキが頼むもんだからさ───」

「あぁあああぁぁああ〜!て、ててテオドラさん!」

なぜか手をわたわたさせてテオドラの発言を遮るユウキを見ながら、レンとテオドラは揃って朗らかに笑った。

その横で、プレイヤー達がにわかにざわついた。

その理由は、転移門から新たに出現した四名のプレイヤーのせいだった。一人は、見慣れた白銀のフルプレートアーマーに超巨大な両刃の斧を携えたヴォルティス。二人目は、真紅の長衣に巨大な十字盾を携えたヒースクリフ。三人目は、薄紺色の着物に亀の甲羅のように鍋を背負ったシゲさん。

この、現六王の実質的スリートップはプレイヤー達に緊張を与えるには十分だったが、彼らがざわついたのは死神のようにふわりと降り立った四人目の人物である女性のせいだった。

その人物は、擦り切れたような漆黒のゴスロリドレスに同色のウェーブロング。

その顔に生気はなく、眼だけが異様にぎらついているような気がする。

そこまではいい。まだ、ぎりぎりのところでファッションの域だ。

だが、異様なのはその女性プレイヤーの足元に現れたものだった。第一印象は真っ黒な影、だ。だが、よく眼を凝らした者は戦慄するだろう。

なぜなら、それはわさわさと動いているからだ。

それは蟲。全てがまったく同じなアリ。一匹一匹の大きさは約三十センチくらいだろう。

固有名は『ポーン・アウント』。恐らくアインクラッドで確認されているモンスターの中で最も小さなものだ。

それが何十匹どころか、何百匹、下手すると何千匹もいるのだ。苦手なヒトならば、気絶するかもしれない。


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