暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
サード・クォーター
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攻略組とてボランティアではない。元六王のメンバーとして攻略組とお抱えの情報屋達も力を揃えて、アインクラッドの隅から隅を洗ったが、その行方は依然としてわからなかった。

結局、エンケイについては新聞の捜し人コーナーに載せる、ということで捜索は打ち切られた。










「………エクレアねーちゃん」

呟き、固まったレンの隣を通り過ぎてエクレア達四人は、プレイヤー達の集団を二つに割りながらまっすぐ集団の中央に向かった。

エクレアの表情は完全に無表情で、心ここにあらずといった感じだった。

おそらく今もエンケイを待っているのだろうか。だが、彼は………

ヴォルティス卿が、集団に向き直って言葉を発した。

「欠員はないようだな。よく集まってくれた!状況はもう知っていると思う。苦しい戦いになるとは思うが、我が認めた卿らの力ならば倒せられると信じている。───開放の日のために!!」

ヴォルティス卿の力強い叫びに、プレイヤー達は一斉にときの声で応えた。

だが、その声にわずかに戸惑いの成分が含まれているのは分かった。

その歓声を受けても、エクレアの表情は僅かでも揺るがなかった。エクレアの表情は完全に無表情で、心ここにあらずといった感じだった。

おそらく今もエンケイを待っているのだろうか。だが、彼は………

そんなことをレンが思っていると、その視線をどう解釈したのかエクレアはふっと力なく微笑した。

その横で、シゲさんとヒースクリフがこちらを振り向き、かすかな笑みを浮かべて言う。

「レン君、今日は頼りにしていますぞ?」

「《鋼糸(ワイヤー)》、存分に揮ってくれたまえ」

茶目っ気たっぷりなシゲさんに、ヒースクリフのソフトなその声には僅かな気負いも感じられない。もちろんヴォルティス卿も。

いきおい社会性にかけるきらいがあるコアなネットゲーマーの中に、よくこれほどの指導者の器を持った人間達がいたものだ。

あるいはこの世界が彼らの才能を開花させたのか。いずれにしても、ここまでの落ち着きぶりは相当場数を踏まないと、なかなか築かれないものだ。

いったい現実世界では何をしていたのだろうか…………

レンが無言で頷くと、ヒースクリフは再び集団を振り返り、軽く片手を上げた。

「では、出発しよう。目標のボスモンスタールーム直前の場所までコリドーを開く」

言って、腰のパックから濃紺色の結晶アイテムを取り出すと、その場のプレイヤー達から「おお………」という声が漏れた。

通常の転移結晶は、指定した街の転移門まで使用者一人を転送するこ

とができるわけだが、今ヒースクリフの手にあるのは《回廊結晶(コリドークリスタル)》というアイテムで、任意の地点を記録し、
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