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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
サード・クォーター
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そして、それらを統率するように一際大きい二匹のアリが、その女性プレイヤーの近くにいる。
その二匹が固有名『キング・アウント』と『クイーン・アウント』。
それらを、まるで従者か奴隷かのように付き従えているのは───
「………エクレアねーちゃん」
震える声でレンが発したその言葉に答える者は、誰もいなかった。
原初の六人、つまり初代六王が初代第六席。《異端者》エクレア。
その二つ名の由来は、実に単純明快だ。彼女の戦い方が通常のそれと全く異なるからだ。
彼女だけが持つ唯一のスキル、ユニークスキル《
飼い馴らし
(
テイムマスター
)
》。その効果は読んで字のごとく、だ。効果は、一人一匹というビーストテイマーの大原則のリミッターを外してほぼ無限にテイムできるようにし、非友好的なモンスターをもテイムできるようになる。
それを駆使し、エクレアはアインクラッド第十層の迷宮区に蔓延るアリどもを次々にテイムして言った。
最初はそれらをモンスターに殺されたりしてそれなりに苦労があったらしいが、スキルの効果なのか、テイムイベントの発生確率がブーストしていて、彼女が本格的に《異端者》の二つ名を冠された時には、もはや軍団といっても差し支えのないくらいのモンスター軍団を組織していたのだ。
そして彼女はその軍団を己が手足のように操り、モンスター達の体を喰い尽くしていった。
エクレアの歩く道に動く物なし。それはアインクラッドでも有名な定説の一つでもある。
そんな彼女が唐突に攻略組から脱退したのは、最前線が三十層を過ぎた辺りのことだった。しかも、脱退したのは彼女だけではなかった。
《豪腕》エンケイ。己の刀身ほどもある巨大なハンマーを豪快に振る、豪快な戦い方に反してキザッたらしい所作で引く手数多だった男。
そんなエンケイとエクレアが婚約した、と聞いたとき、アインクラッドに激震が走った。
だが、攻略組の連中の反応はかなり淡白なものだった。あぁ、やっぱりな、みたいな。
そこから二人は攻略組の前から姿を消した。
だが、その三ヵ月後。唐突にエクレアは六王の前に現れた。
その服装はぼろぼろ、本人の目には生気がなかった。そんな彼女から六王たちが聞き出せたことは非常に少ない。
唯一判ったのは、エンケイが失踪したこと。それだけ。
使いを出して黒鉄宮の《生命の碑》を確認したが、そのエンケイの名の上には横棒はなかった。だからエンケイの存命は確認された。
だが、その行方は依然として掴めない。夫婦の特権で位置を探ったが、迷宮区にでもいるのか、その行方はわからない。
生きた屍のようなエクレアの姿。
その姿だけで、彼女がどれだけエンケイを愛していたのか判るが、
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