旅の終わり。
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旅の終わり。
ゴポリと言う音が近くから聞こえる。
母親の胎内で羊水に囲まれているような感じだ。
ここは何処だろうとアオは思う。
また転生したのだろうか?
そんな事を考えていると、途端に自分の周りから水が排出されていき、重力に引かれるままにその体を地面に横たえた。
プシューーーーーーッ
何か機械的な圧から開放されるような音と共にアオを覆っていたカプセルが開かれる。
「帰ってきたか」
と、どこか疲れたような初老の男性の声が聞こえる。
四肢に力を込め顔を上げると声のした方へと向けた。
「君達にしてみれば人の一生を越える時間だっただろうが、私達にしてみればほんの一瞬。だが、成功したのは君を含め数名のみ…」
プシューーーーーッ
アオの後方で同じように扉が開き、中から七歳くらいの女の子が倒れこむ。
「ソラっ!?」
アオは直感でそう悟り、駆け寄って抱き上げた。
「…ぅ……あ……お?」
「ああ、そうだよ」
ソラを抱き上げた自分の体を見る。その体は成人男性のもので、ソラとの年齢の差を感じさせた。
「また一人戻ってきたか」
「あんたは誰だっ!」
淡々と語る男性にアオが声を荒げる。
「忘れたか。…いや、それもしょうがない事。だが、君たちが我らの最後の希望と言う事には変わりが無い」
「最後の希望?」
どういう事だとアオは詰め寄った。
「今、この世界は滅亡の危機に瀕している。何処から現れたのか分からない神などと言う存在にな。我々人類も科学の力で対抗したが、超常の力を使う奴らには敵わなかった。そこで考えられたのは超常には超常をと、何とか倒せた一体を解剖、研究し幾つかのプロジェクトが立案され、試行された」
その男性の言葉を聞いてだんだんアオも思い出してくる。
ここは…
「ここはプロジェクト・ドリームトラベラー。夢を渡るように君たちに戦いと言う名の精神負荷をかけて、敵から抽出した細胞を自身に最適化させて行き、最後には超能力を行使できる戦士を作り出す」
そう言えばそうだったかもしれない。
あの、何て事の無い日の繰り返しの日々が、爆音と共に終わりを告げ、人類はみなシェルターへと非難したんだった。
そして国がランダムに選び出した数百人を敵に対抗する戦士を作り出すべく敵の細胞を埋め込んだ後、夢を見るように仮想空間を旅をして経験と、細胞との融和を計るプロジェクトにアオも選ばれたのだった。
「屈強なアスリートや傭兵などはその細胞に負けて帰ってくる事はなかった」
つまり死んだと言う事か…
「今残っているのはどれも精神的に特定の分野に傾向している者ばかりだな。これは順応性の問題なのか、個人の素質の問題なの
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