第5章 契約
第58話 水の契約者
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七月 、第四週、ユルの曜日。
南中高度に達した真夏の太陽が、熱死者すら出しかねない勢いで照りつける中、コルベール先生の研究室の入り口から中を窺うかのような雰囲気で立つ大小ふたつの影。
最早、習慣に成りつつ有った七回目を数える魃姫への食事を運ぶ作業も終了し、コルベール先生が魃姫と思われる少女に食事をさせて居る様子を、見つめるとは無しに見つめる俺。
そんな俺の右隣には普段通り、俺の主人の蒼き吸血姫が肩を並べる。
もっとも、あの太歳星君との戦いの後、彼女は俺と擬似的な式神契約を交わした為に、このハルケギニア世界の使い魔契約上では、俺はタバサの使い魔と言う立ち位置と成っています。しかし、俺の式神契約上では、俺から霊力の補給を受けて居る以上、彼女は俺の式神扱いと成っていると言う、何とも表現の難しい相手と成っているのですが。
愛はお互いを見つめ合う事ではなく、共に同じ方向を見つめる事である。……と言う関係。
いや、俺と彼女の間に、王子と薔薇が過ごした程の時間が確実に過ごせたとは言えませんか。
尚、褐色の肌に見事な肢体を持った、真夏の太陽に愛されまくっているはずのキュルケは、容赦のない日差しの下を出歩く事を嫌がって、本日はタバサの部屋でエアコンの番人と化して居ます。もっとも俺からしてみると、暑いのと、熱い、の体感的な違いなど判らないのですが。
おそらくは、単にコルベール先生の研究室に踏み込むのが嫌なだけだとは思いますけどね。
そして、我が主タバサに関しては……。
「流石に、昼日中から俺に付き合う必要なんてなかったんやで」
視線は食事中のコルベール先生と魃姫を見つめ、タバサに関しては言葉のみにて、そう問い掛ける俺。それに、本来なら彼女の方こそ、陽光あふれる世界での行動は控えた方が良い体質を持っていますから。
しかし、
「問題ない」
タバサにしては、珍しく実際の言葉にして答えを返してくれる。それでも、彼女が大丈夫だと言うのなら大丈夫なのでしょう。
それに、当然のように紫外線を遮断するクリームは使用していますし、肌は極力露出させないようにしています。更に、彼女にも精霊の護りが有りますから、タバサの体調さえ万全ならば問題ないのは事実ですから。
まして最近では、俺と共に厨房に入り込み、調理の手伝いなどを行うようになったので。
益々、彼女は俺の主人……契約者と言う立場ではなく、家族。同棲相手。などと表現すべき相手と成って来たのは確実ですか。もっとも、食事の準備とは、つまり、仙丹。魔法薬を作製出来るように成る為の修業ですから、何時かは開始しなければならないのですが。
そんな、少し甘酸っぱいような、かなり照れ臭いよう
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