第四十話 同盟結成その一
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
久遠の神話
第四十話 同盟結成
上城と大石はだ。すぐにだった。
工藤と高橋のいる自衛隊の兵庫県地方連絡部本部に向かった。その途中の車中、大石が運転するその白いワゴンの中でだ。大石は助手席にいる上城に問うた。
「このワゴン車ですが」
「はい」
「どうでしょうか。乗り心地は」
「いいですけれど」
「そうですか。実はこのワゴン車は信者の方からの寄進で」
それで貰ったものだというのだ。
「私にとっては非常に大切なものです」
「そうなんですか」
「この仕事は多くの人を乗せて移動することが多いので」
それでだというのだ。
「こうしたワゴン車がいいんです」
「そうなんですか」
「はい、そうです」
こう上城に話すのである。
「そしてそれをです」
「寄進してもらったんですか」
「有り難いことに」
微笑んでだ。大石は運転しながら語る。
「そうして頂きました。前にもお話しましたが神父は」
「お金はですか」
「ありません」
そうした意味では質素だというのだ。
「車もです」
「ないんですか」
「だからこそです。寄進はです」
「有り難いんですか」
「実に」
大石は微笑んで話す。
「何しろです。こうした仕事はです」
「真面目に生きているとなんですね」
「中々苦しい時もあります」
「じゃあ坊主丸儲けっていうのは」
「そうもいきません」
これが現実だった。
「苦しいものです」
「そうですよね。やっぱり」
「神父も。仏教の僧侶もですが」
「お坊さんもですか」
「神道の神主の方もですね」
とにかくだ。殆どの宗教組織のだというのだ。
「宗教家は寄進や寄付によりです」
「食べてるんですか」
「それが現実です」
「じゃあやっぱり」
「はい、この車を寄進して頂いた時は嬉しかったです」
まさにだ。そうだったというのだ。
「とてもです」
「そうなんですか」
「確かに中には悪どく儲けている人もいますが」
「カルト教団とかですか」
「カルトは二種類ありまして」
大石はカルト教団の話もした。
「狂信的なものと金銭目当てのです」
「その二つがあるんですか」
「金銭目当ては詐欺と言っていいですね」
宗教家というよりはそれだというのだ。俗に言うインチキ宗教団体のことだ。こうした組織も世の中には存在しているのだ。
「それが時にはです」
「混ざってるんですか」
「はい、狂信的でありかつ金銭にこだわる団体です」
そうしたものもあるというのだ。
「残念ですが存在しています」
「ですね。僕も聞きます」
「そうした人達は宗教家ではなくです」
何かともだ。大石は述べた。
「狂人であり詐欺師です」
「そうなる
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ