GGO編
百十四話 敵(かたき)を信じよ
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、随分と、丸く、なったな」
「……お答えどうも」
少々癪に触る言い方ではあったものの、答えとしてはそれで十分だった。ふんっ、と鼻を一つ鳴らし、更に問う。
「で?覚えてんならさっさと答えてほしい訳だが」
「ク、ク……差し詰め、其処の、女の、為か……」
「……っ!」
「あぁ?」
いらついたように首をかしげたリョウの背後で、アイリは息を詰めた。
「思い、出したぞ、あの女も、同じ、名だったな……アイリ、だったか」
「……てめぇにも人の名前覚える程度の記憶力は会ったんだな」
「ク、ク、ク……その様子だと、あの女は、死んだか」
「く……」
「さぁ、どうだろうな」
アイリが口をはさむよりも前に、リョウがおどけた様に肩をすくめて言った。
「どうやって、死んだ?一人で、討伐でも、されたか?それとも、お前が、やったか?」
「…………」
リョウは顔色一つ変えずに黙ってザザを見ていたが、しかし後ろにいたアイリはそうもいかなかった。二つ目の発言で顔色を変え、それを目ざとくザザが見る。
「ク、ク、そうか、お前が、やったか。しかし、何のつもりだ?」
「あぁ?何が」
首をかしげながら言ったリョウに、ザザはシュウシュウと笑う。
「……以前の、お前なら、殺した、人間にも、その、知り合いにも、興味は、無かった、筈──「てめぇが俺を語んな気色悪ぃ」……」
低く重々しい声が響いたその瞬間、一瞬だけ砂漠に凄まじい威圧感が吹き荒れたが、それはすぐに収まり、後にニヤリと笑ったリョウが残る。
「ま、良いや。んじゃ何?やっぱお前さん達かい?アイツに色々教えてやったのは」
「正確には、“あの人”、だ……クク、思い出して、きた。あの女、あの人との、話しが、終って、救われたような、顔を、していたな……ク、ク、ク……」
「っ……!」
楽しむような、何処か嘲るようにも聞こえるザザの笑い声を聞いて、アイリはM8の変わりに手に持っていた光剣を強く握り締める。しかし、飛び出してザザを問い詰めようとしそうになるのだけは、なんとか堪えた。
「何度も、見たわけでは、無いが、ああして、人が、“此方側”に、堕ちる様は、本当に、良いな」
「っは……良い趣味してるぜ」
「ク、ク、ク……お前も、偽物、とは言え、此方側の、人間だ……寧ろ、あの人は、お前が、俺達の側に、居ない事を、惜しんでいた……いや、訝しんで、居たな」
「えっ……?」
「…………」
「お前は、誰よりも、此方側へ、向いていると、言っていた。あの人が、其処まで言うなら、事実だろう……だが、俺は、お前を、認める、つもりは、無い。」
「認めてほしいとも思ってねぇよ」
苦笑しながら言ったリョウの前で、何故かザザは体をユラユラと揺らし始めた。
「そうか……さぁ、そろそろ、お喋りも、お終いだ
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