GGO編
百十四話 敵(かたき)を信じよ
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さぁっと音を乾いた音を立てて、リョウとアイリの間を乾いた風が吹き過ぎた。風によって砂の擦れるだけの小さな音が、今のアイリにはとても大きく聞こえた。それだけ自分が緊張している証なのだろうなと、彼女は自分の中で結論を付ける。
現時点で、前を行く涼人から出ている指示はこうだ。
『俺が撃たれるにしろお前が撃たれるにしろ、初手の弾丸の予測線はこっちにゃ見えねぇさて……お前、殺気が分かるって言ってたよな?』
『え?』
『最初に会った時だ。どうなんだ、分かるのか分からねぇのか』
『あ、えっと、分かるよ……あの時アイリと向き合った時から……何となくだけど……』
『十分。なら、それを探せ、なんとかして一発目を躱すぞ。もし当たったら、そん時はもしお前なら俺が即座に刺さった電磁スタン弾を抜く。OK?』
『わ、わかった』
以上。
しかし、とは言われたものの、意図的に殺気を探すなどやった事が無い身としては、一体何をどうすればいいのやらさっぱりである。ちなみに目の前を歩く青年に聞いたら、「勘だ!」と言われた。成程、全く参考にならない。
と……そんな事を考えつつ、とにかく周囲に気を配りながら歩いて居ると、不意に、リョウが立ち止まった。
「ストップだ。アイリ」
「っ……」
立ち止まると同時、リョウは耳を澄ませるように息をひそめ……
──ピリッ──
「っ、伏せろっ!」
「っ!」
言われるまでも無く、アイリも伏せていた。うなじの辺りに不快な電流が走るような感覚を感じた時には、既に腰を落としていたのだ。そして一瞬前まで自分のzょう半身が合ったその場所を、唸りを上げて何かが貫いた。
即座にリョウが弾丸の飛んで来た方向を見て……一気に走りだす。その少し離れた後ろについて、アイリはM8を構えて走り出した。
────
弾丸が飛んできた方向に向かって一直線に走る。途中既に二、三発の弾丸が飛んで来ていたが、予測線の見えるスナイパーライフルなど拳銃にも劣ると言う者で、かすりもせずに躱す。
と、どうやら諦めたらしい死銃は、ようやくその姿を現した。
遮る物の無い砂漠のど真ん中に立ち、此方にP90を向けているそのその影に向けて、リョウがXM29を構える。
「よぉ、ようやく会えたな死銃チャン」
「…………」
正面から向き合うのは二度目ながら、アイリは緊張した面持ちで死銃にM8の銃口を向け続ける。
黙り込む死銃に、リョウはニヤリと笑いながら聞いた。
「お目に掛かれて別に光栄じゃねぇけど、一応言っとく、始めまして。俺の名前は……言う必要あるか?」
「お前は、ジン、か……」
「ひゅう!知っててくれるたぁ光栄だ。それなら話がはえぇ……君のお名前なんですか?」
まるで名乗るのが当然だと言わんばかりに言ったリョウに、死銃は
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