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失われし記憶、追憶の日々【精霊使いの剣舞編】
第八話「決闘」
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に突き刺さった剣を手にした。


「故あって万全の状態ではないが、今の俺の本気をお見せしよう。気を張れ。一瞬でも気が抜ければ負けるぞ」


 夕凪流活殺術――狼の構え。剣を担ぎ腰を落とした前傾姿勢となる。


「いくそ、エリス・ファーレンガルト!」


 地面を踏み抜き一瞬にして彼我の距離を零にした。突然、間合いに入られたエリスは目を見開いた。


「夕凪流活殺術枝技――一閃二殺」


 横凪ぎの一閃。音速を軽く越えるその斬撃はすべての音を置き去りにしてエリスの胴を狙う。


 第六感が働いたのか、エリスは間一髪後ろに飛び退さる。だが、


「夕凪流活殺術枝技――」


「なっ……!?」


 既に多連瞬動で背後に回り込んでいた俺はその無防備な背中に狙いを定めていた。


「――断・一刀」


 上段からの振り下ろし。膨大な神威を背中に叩きつけた。


「ぐぁ!」


 エリスが小さく悲鳴を零して倒れ伏す。しかし、今の一撃でリタイアしないとは流石だな。


「団長!」


「あんたの相手はこのあたしでしょ」


 エリスの元に向かおうとしたレイシアの前にクレアが立ち塞がった。


「くっ、邪魔をするな!」


「あら、このわたくしを忘れてもらっては困りますわね」


 さらにその手に氷の大弓を携えたリンスレットも並び立った。


「下等のレイブン教室風情が!」


「その下等なレイブン教室に負けるのよ! ――舞え、破滅呼ぶ紅蓮の炎よ! 〈炎王の息吹〉!」


「失礼な! わたくしはどこかの残念胸とは違ってパーフェクトでエレガントですわ! 凍てつく氷牙よ、穿て――〈魔氷の矢弾〉!」


 クレアが炎属性の精霊魔術を唱え、リンスレットが氷の矢弾を放った。


 放たれた獄炎と氷牙は真っ直ぐに標的に向かい――、空中で互いに衝突した。


「……え?」


 あまりの出来事に思わず固まるレイシア。


「ちょっと、リンスレット! あんたなに邪魔してんのよ! それにまた残念胸って言ったわね!」


「な、なんですのっ、あなたこそわたくしの邪魔をしないでくださる? 残念胸は本当のことですわ」


 唖然とする敵を置き去りにして口喧嘩を始める二人。それを隙とみたレイシアが音もなくリンスレットの背後に近寄った。


「――!? リンスレット!」


 クレアの声に振り替えるが、既にレイシアは剣を振り上げていた。


「チィ!」


 俺は手にしていた剣を投擲して、レイシアの胸を貫いた。


 声もなく崩れ落ちる彼女の元に瞬動で駆け寄って剣を引き抜き、茫然と立ち尽くすク
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