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失われし記憶、追憶の日々【精霊使いの剣舞編】
第八話「決闘」
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た風の塊が、地面を抉りながら突貫してきた。


 再度、弦月飛脚で真下に回避し地面に着々。素早く召喚式を唱えながら並列思考で同時に術式を構築する。


「リシャルト、後ろ!」


「ちぃっ」


 ――多連瞬動。


 背後から接近していたシムルグが俺の背中を穿つ。だが、


「……っ、残像!?」


 一瞬早く、俺はクレアの元に移動していた。シムルグが激突したのは高速移動で生じた俺の残像。


 詠唱が終わり、俺の手に長剣が現れた。同時に構築し終えた術式を凍結保存する。


「あ、アンタって凄いのね……」


「誉め言葉として受け取っておこう」


 クレアが呆けた顔でポカンと俺を見上げていた。


 しかし強いな、エリスは。


 五大元素精霊の中でも風は最速を誇る精霊。エリスは見事にそれを制御していた。


 なるほど、騎士団長のことだけはある。


 見渡す範囲ではもう一人のチームメイトの姿はない。気配を探ると、劇場の外壁にリンスレットの気配があった。狙撃主(スナイパー)としての自覚はあるようだ。


 再び夜空へ舞い上がったシムルグは再度、急降下してくる。


 瞬動で回避するが、地面に激突したシムルグは無数の風の刃を放った。


「くっ、凍結解放――〈対魔障壁〉展開」


 回避出来ないと悟り、刹那の間で思考。手を突き出して凍結保存した術式を呼び起こした。


 掌を中心に対魔術障壁が半円状に広がる。風の刃は半透明の障壁を前に霧散した。


「精霊魔術か!」


 驚くエリス。俺は剣を担いで脚を大きく前後に開いた低姿勢の構えを取った。


「さあ、俺たちのデビュー戦だ。いくぞ、相棒!」


 エストに語りかけ疾駆する。


「援護するわ!」


 地を這うように走ると後方から炎の斬撃が、再び襲い来る風の刃を迎撃する。


「団長の邪魔はさせない!」


 三つ編みの騎士、レイシアがクレアに向かう。その手には透明の氷の剣。リンスレットと同じ氷精霊の使い手のようだ。


 一瞬、クレアの元に向かうべきか迷うが、レイシアの精霊はリンスレットのフェンリルに比べて格が低く、さらには彼女自身が完璧に精霊を御しきれていない様を見て断念する。あの程度、クレアの敵ではない。


 なら目下、自分が果たすべき役目は――。


「敵の頭を討つ!」


 さらに体を沈め、一気に接近しようとした刹那、激しい爆砕音とともに目の前の地面が抉れた。


「むっ!?」


「はんっ、精霊魔装――〈刄岩の鎚〉、受けてみろよ!」


 眼前に躍り出たのは黒髪の短髪の少女、ラッカ
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