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失われし記憶、追憶の日々【精霊使いの剣舞編】
第八話「決闘」
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た。豊かな双丘が持ち上がり自己主張をする。


「とこらで、なぜキャロルまでここに?」


「もちろん、お嬢様の応援ですわ」


 俺が聞くと、キャロルはどこからか旗を取り出して「フレー、フレー、お嬢様!」と振り始めた。


 態々、応援をするために危険な元素精霊界に赴くか。


 キャロルの意外な豪胆さに感心していると、真上から凛とした少女の声がした。


「――そちらは揃ったようだな、レイブン教室」


 崩れかかった壁の上に白銀の甲冑を身に付けたエリスが立っていた。


 赤い月をバックに青い髪をなびかせた出で立ちは幻想的で、暫しの間言葉を失った。


 エリスの傍らには例のように同じく甲冑姿の二人の騎士が。クレアからの話によると三つ編みの少女がレイシア、短髪がラッカというらしい。


「エリス・ファーレンガルト、いつからいたのよ!」


「ひょっとして、格好よく登場するタイミングを待ってましたの?」


「なっ……そ、そんなことないぞっ、私は今来たばかりだ!そんな三十分前から隠れて待っていたなんて、あるはずがないだろう!」


 リンスレットのあからさまな挑発に目に見えて狼狽える。動揺して今にも落ちそうだ。


 素直な奴だな。


 エリスは俺たちを鋭く睨み付けると、腰の剣をを抜き放った。


「行くぞ、レイブン教室。夜が明けぬうちに終わらせてやる!」


 劇場の舞台に次々と炎が灯る。その炎に照らされ、巨大な翼を広げた一羽の大鷲が夜空に姿を露した。


「契約精霊か」


「そうだ、リシャルト・ファルファー。紹介しよう、私の契約精霊――魔風精霊のシムルグだ」


 大鷲――シムルグは甲高い鳴き声を上げて急降下した。


「避けろ!」


 俺の声にクレアたちが散らばる。シムルグは一瞬前まで俺たちがいた場所にダイブした。轟音が轟き、大量の土砂が舞い上がる。落下地点から発生した強風が俺たちを襲いかかった。


 地面を蹴り、背後に跳んで風に身を任せる。空中でクルッと一回転し、壁に足から着地した。そのまま壁を蹴り空高く跳躍した。


 二人は無事のようだな。


 眼下にはクレアたちがそれぞれ配置についていた。キャロルは……いつの間にか劇場の外へ逃げて旗を振っている。


 吹き荒れる風が止んだ。今のうちに接近する!


 ――弦月飛脚。


 足裏に一瞬だけ魔方陣を展開し、それを足場にさらに跳躍。


 一気にシムルグへ迫った。


「まだよ、リシャルト!」


「むっ!」


 クレアが叫ぶと同時にシムルグの咆哮が響き渡る。落下してあいた穴から膨大な質量を持っ
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