第八話「決闘」
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な短剣のはず――。
「ああ、そうか」
原作ではカミトはレスティアとすでに契約を交わしており、彼女を諦めきれていなかったため、エストを受け入れることが出来ず不完全のままで召喚してしまったのだった。
対する俺は無論、レスティアと契約していないし、第一彼女と接点がないためエストを拒否することがない。……なら、なぜエストと精霊契約が交わせた? これも転生特典なのか??
「……よく分からんな。まあ、出来してしまったものは仕方がない。メリットはあれどデメリットはないんだし」
長剣を眼前に持ってくる。
「なにはともあれ、これからよろしく。俺の相棒よ」
返事をするかのように、淡く刀身が輝いた。それを見て、俺は笑みを浮かべるのだった。
† † †
ふと目が覚めた。いつの間にか眠っていたらしい。
時刻は深夜の一時三十分。決闘まであと三十分か。神威供給をカットしていたため、エストも精霊魔装を解いており室内には俺一人だ。
「そろそろ出るか……」
身支度を済ませて外に出ると、すぐそばにクレアが腕を組んで突っ立っていた。
「遅いわよ。あまりレディーを待たせないでよね」
「それはすまなかったな」
ふんと鼻を鳴らすクレアに苦笑し、待ち合わせ場所である〈門〉を目指して歩く。
「そういえば――」
「なによ?」
「なぜ、そうまでして強い精霊を求める? 何が君を駆り立てるんだ?」
「……」
生憎、俺の風化した記憶では失踪した姉が関与していだけしか覚えていない。
スカーレットほどの精霊を使役するクレアが身の危険を呈してまで〈封印精霊〉に手を出そうとした。相応の理由があるはずだ。
「……そうね、隠しても仕方ないことだもの。話すわ」
クレアは制服の胸元から小さなペンダントを取り出した。
銀の鎖がついたペンダントの真ん中には深紅の精霊鉱石が嵌め込まれている。そこには炎の獅子の紋章が彫刻されていた。
「これは、エルステイン公爵家の紋章か」
クレアは無言で頷いた。
エルステイン公爵家はオルデシア帝国の建国以来、代々王室に仕えてきた大貴族だ。精霊使いの頂点に立つ五人の姫巫女の一人。五大精霊王に直接仕える〈精霊姫〉を輩出している名門中の名門。
そして、災禍の精霊媛を産み出した一族。
ルビア・エリステイン。四年前、火の精霊王に仕えていた彼女は突如、際殿から最強の炎精霊〈レーヴァテイン〉を強奪し
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