番外2話『ローグタウンA』
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落雷地点からそう遠くない場所にいたハントもさすがに顔をしかめたまま数秒ほど身動きをとれずにその場に立ち尽くしていたのだが、そこから自分の体がぽつぽつと濡れ始めたことに気がついた。
「……雨か」
ハントが雨だと気づいた途端、それを待っていたかのようなタイミングで一気に雨の勢いが増していく。豪雨といってもおかしくないレベルにまで達した雨量に、周囲にいた人間が慌てて小走りに雨宿りの店をみつけたり帰宅しようとする中、ハントも当然その例外ではない。しきりに首をめぐらせてどちらへ行こうか考えようとする。
ただ、ずっと道に迷っていた彼が道を考えることによって帰れるようになるわけもなく、結局はそこで足踏みをするだけにとどまるのだが、別のことを思いついたのか、ちょうど自分の脇を通りがかった男へと声をかけた。
「港ってどっちに行ったらいいかわかる?」
「ああ。あっちだよ!」
男も慌てているのか指で港の方向を差してすぐにかけていく。その背中に「ありがと」と感謝を示して、ハントも駆け出しながら呟いた。
「最初から人に聞いてればよかった」
方向さえわかればハントにとってもこんな大きな街中で道に迷うことなどありえない。相変わらずの己の間抜け具合に嘆きつつも徐々にスピードをあげて、だがまた別のことに気づき、小さな声を落とした。
「……なんか、騒がしくないか?」
たしかになにか喧騒がある。
それは完全にハントが向かってるこの先の大通りから聞こえている。
――まぁ、突っ切ったらいいか?
雨でビショ濡れになりながらも厄介ごとに首を突っ込む趣味などあるはずもなく、ただどことなく呑気な考えをもったまま道を曲がり大通りへと合流した。
そして、その瞬間。
「ハント!」
「お前、今までどこ行ってた!」
ルフィとサンジ、それにゾロが一目散に駆けているところへと遭遇した。
「なんだよ、そんなに慌ててなにかあ――」
全てを言い切る前にその後ろにあった喧騒が一段を大きくなった。
「あれも麦わらの一味か!」
「この人数にたった一人で援軍とはいい度胸してやがる!」
声を振り返るとそこにはたくさんの海兵が。
「げ」
「ハント、逃げるぞ!」
「お、おう!」
慌ててルフィに追従する形でハントもその逃走劇に合流するのだが、彼らの目の先に現れた一人の女性がそれを阻止せんと立ちはだかった。
「ロロノア・ゾロ!」
断固としてゆるぎない視線と姿勢で、彼女は標的の名前を叫ぶ。
「たしぎ曹長!」
見た目は単なるかわいらしい女性でしかないというのに、腕がたつのだろうか。ルフィ一行を追いかける海兵たちが安堵したかのような声色で彼女の名前を呼ぶ。
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