番外1話『ローグタウン』
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、それにハントは気づかない。
「…………これは?」
「……んー」
「エレクトリカルで!」
「………………これ」
「……んー」
「エレジ――」
そして、遂にナミが我慢の限界を迎えた。店主のほめ言葉などそもそも聞いていなかったかのように店主の言葉の途中で一度試着室へと引っ込み、最初からきていた服を着て試着室から出てきた。
「――ハント?」
「……ん?」
「ちゃんと見てる?」
「あぁ、見てる」
「さっきから『んー』しか言ってないと思うけど?」
「そうか?」
「ええ」
「……そう、かもな」
「ちゃんと意見聞かせてくれないと意味ないんだけど」
「……意見ねぇ」
どうにも煮え切らないハントの態度だ。それに、ナミはカッとなった。
「もういいわよ! そんなにつまらないなら一人で買い物するわよ!」
「い、いやそんなことは――」
「――うるさい!」
ぴしゃりと言葉を叩きつけてそのまま店を出る。
「お、お客様! 先ほどまでの服は全てお買い上げで?」
「ううん、いらない。私もっとラフなのがほしいからほかの店行くわ」
「またのご来店を!」
息を切らしながらも全力の営業スマイルを浮かべる店主に内心で拍手しつつ、それどころではなかったとナミの背中を追いかける。
「待った待った、ナミ待ってくれって! ほんとにつまらないとかそういうつもりは――」
「――じゃあなんであんな態度とったのよ」
ぴたりと立ち止まったナミがじろりとハントを睨みつける。
「あぁ……うん。まぁ、その……なんというか」
また煮え切らない態度。それがつまりはつまらなかったということなのだろうと、既にイライラしてしまっているナミには感じられてしまう。
今のところ、もしもこれがデートと仮定するのなら明らかにハントが悪い。
実際、ナミはそれに近いつもりでこの買い物を楽しもうとしていたのだ。8年前のハントの言葉を信じるのなら今も彼女のことをハントは好きでい続けているわけだし、そんなハントを信じて、ナミは買い物に一緒に行こうと誘ったのだから彼女もハントのことを少なからずそういう感情をもっているのかもしれない。
とにかく、再会して二人っきりの会話も充分といえるほどに交わせてはいないため、それもナミとしては楽しみだったのだろう。
それが蓋を開ければ、ろくに服の感想も言おうとしない、それどころか興味すらなさそうに首をひねるだけ。
不機嫌になるのも仕方ないだろう。
「……つまらないならそう言ってくれたらいいじゃない」
「違う、ほんとにつまらないとかそう思ってたわけじゃない。ただ、なんていえばいいかわからなかった」
「? ……思ったことを言ってくれたらいいじゃない」
別に全肯定を
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