番外1話『ローグタウン』
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的笑顔を向ける。
「何だとおもう?」
「……」
――嫌な予感がする。
彼女が浮かべる小悪魔の笑みに、そう感じずにはいられないハントだったが、果たしてその勘は的中する。
とある服屋に着いた。
女性服を主に取り扱っているお店なのだろう。女性客が主に見かけられるこの店内で、ハントは気まずそうにナミの後をついて歩く。この時点で帰りたいと既に思ってしまっているハントだったが、救いとして店主が男性なため、居心地が悪すぎるというほどではなかったというところだろう。
大量の服を抱えて試着室に入ったナミが着替えている間に、店主がこっそりとハントへと話しかける。
「お美しい彼女様でごさいますね」
「……彼女じゃないんだけど」
「ほぅ、では付き合う前といった感じでしょうか?」
「いや、それも違うかな」
店主がグイグイと食いついてくるため、別の意味で気まずい。
そんなやりとりを何度か繰り返した後、店主の目が光った。何かを察したかのような、そんな眼光だ。
「要するに、お客様のお連れ様と懇意になりたいのでございますね?」
「っ!?」
まさか正解されるとは思っていなかったハントは驚きに身をよじらせるが、それが肯定であることを店主が暗に悟る。
「いえいえ、いいのです。それも当然のことでございましょう。あれだけお美しいお客様です、きっとそう簡単な道ではないでしょうとも、そうでしょうとも。ですからこそです、ここでお客様が男としての意地をどんと張ってあげることこそが彼女様をおとす第一歩ではございませんでしょうか!?」
ズズいと営業スマイルの店主が両手に広げたアクセサリーを見せびらかす。
「これなんかはどうでございましょう」
ハントはそこでゆっくりと首を横に振る。
「もう諦めたから……俺はいらないかな。俺はいいから彼女にいい服を見繕ってやってくれる?」
「で、ですが――」
「――いらない」
「さ、左様でございますか」
徐々に険しくなるハントの瞳が、店主の言葉を黙らせた。もちろんハントからして無意識なのだが、こればかりは仕方ないだろう。どうしようもない空気が淀もうとしたところで、試着室のカーテンが開かれた。
そこにいたのは毛皮服を大胆に着こなしたナミが。
「これ似合うかな?」
「……んー」
「おぉ、お似合いで、お客様!」
大胆なスリットが入ったチャイナ服を着こなしたナミが。
「これは?」
「……んー」
「ほー、エレガントで!」
どうも反応の悪いハントと全力でほめる店主の温度差が著しい。まるで滑稽なほどの二人だが、それが少しずつナミの機嫌を悪化させていく。
「……じゃあこれは?」
「……んー」
「エレメントで!」
ただ
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