暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外1話『ローグタウン』
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いない。それどころかナミにとっても大事な思い出だ。忘れられるわけもない。それに、共に世界を回ろうという約束もある。
 要するにハントが海賊になった原因は自分にあるのではないか、という想いがナミにとっては少なからずある。だから、自分のせいでハントが嫌々海賊になってしまったとして、それでハントが打ち解けずにいれるなら少なからず自分のせいもあるのではないかと、不安にかられていたのだ。

 もちろんハントが海賊になったのは自己責任のことで、ナミがどうこう考えるべきでないことだということは彼女もわかってはいる。が、やはりそれでもハントの自己責任、とそれだけで完全に自分と区別させて考えるには色々と複雑な感情が入り混ざりすぎてしまっている。

 それで心配になって先ほどの『楽しくやれそうか』という質問に結びつくわけなのだが、ただそれを実際に尋ねてしまうと自分がハントのことを心配しているということがあからさまな態度となってしまう、それが恥ずかしくてナミ自身わけもわからない感情と共に強い言葉をたたきつける、という結果になったのだ。

 まぁ、つまり。
 後半の強い言葉はナミの照れ隠しでしかなかったわけなのだが、残念ながらハントは察せるほど鋭くはない。
 これまでハントが触れ合ったことのある異性との人生経験はベルメール、ノジコ、ナミ、それにほんのちょっとの人魚と、だけだ。
 そんなわずかな経験でナミという異性の照れ隠しの言葉をハントが察せるわけもない。さっさと聞かれた問いにうなづく。

「ああ、あいつらと一緒なら楽しく世界を回れそうかな……海賊になってまだ少ししか時間経ってないし、実感もわいてないけど、でも、きっと後悔はしないと思う」

 ――っていうかナミと一緒で後悔なんてするわけもないしな。

 気軽に、なんでもないという風に小さく紡がれた言葉に、ナミは少しばかり頬を赤くさせて黙り込む。

「……」
「……あれ、ナミ?」

 返事がないことを不思議に思ったのか、顔を近づけて覗き込もうとするハントに、とりあえず拳骨を一つ。

「ったぁ……なんで俺殴られたの!?」
「顔が近い! マナー違反!」

 その言葉に、ハントは一瞬だけ驚きの表情を。それから寂しそうに「そうだな」と頷く。特に違和感のないやりとりだ。彼らの昔どおりのやりとりといえばそのまんま。変わったことといえばナミの照れ隠しに少し暴力的なスキンシップが増えたことくらい。

 笑ってやり過ごすはずの、そんなやり取り。
 なのに。
 なぜか彼の声に滲むなにかがナミにとっては距離が感じられた。

「……ハント?」

 それを不思議に思い、尋ねようとするも「そういえば何を買うんだ?」という笑顔に邪魔をされた。結局はナミも先ほどの勘違いと判断して、彼女特有の小悪魔
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