番外1話『ローグタウン』
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あるハントからして、ナミから金を借りる度胸はさすがになかった。
なにもすることがないのだから船でのんびりと留守番でもしようか、そう考えて船へと引き返そうとしたハントだったが不意に甚平をつかまれて動きを止めた。
「……」
「……?」
振り返ると、そこにはナミが。なんとなく気まずい表情をするナミにハントが首をかしげる。
「ナミは買い物に行くんだろ?」
「……うん」
「なんか用か?」
「うん」
――あれ、なんか……デジャビュ?
一瞬だけ考えて気のせいかと首を振る。なぜかモジモジとするナミが、これまたハントにとってはどうしてもツボで、抱いてはいけない感情を思い出しそうになる。
――やっぱりデジャビュ?
ふと思い、そこで気づいた。
「あぁ。荷物持ちか?」
「!?」
ナミがなぜか驚いた顔で、はじかれたようにハントを見つめる。
「あれ、違ったか?」
「ううん、合ってる。私たち結局再会してからあんまり会話してないわけだし、さ」
――久しぶりに二人っきりで会話を楽しもうよ。
小さな言葉を付け足して、そのままハントの甚平を引っ張って歩こうとするナミに慌ててハントも付いていく。
「そうだな、それぐらいなら……いいよな」
自嘲気味にハントは微笑む。
なにかを達観しているかのような笑みと、声色。
それに気づけなかったナミはわずかに首をハントへと向けるが、ハントはもういつもどおりの表情で「どうした?」と逆に首を傾げてみせる。
まるでなんでもなかったという態度に、ナミは小首を傾げつつも気のせいだと判断して「ううん」と微笑む。
――機嫌よさそう……かな?
「ねぇ、ハント」
「ん?」
「ルフィたち、どう?」
「……どうって?」
ざっくりとした質問に面食らう。意図が掴めるわけもなくオウム返しになった彼の言葉を、ナミは少しばかり目をさまよわせてうつむき、ため息をついたかと思えば、自分の髪をかき乱して実にいらだたしといった様相で尋ねる。
「だから……その、楽しくやれそうかって聞いてるの! 察しなさいよ、それくらい!」
「え、えぇ!?」
いきなりの温度差のある態度。
ナミの言葉の裏にはハントへの配慮が多分に含まれていた。
ココヤシ村を出る前、まだ島中の人間が宴で騒いでいる中、またハントがルフィに誘われる前のこと。
ベルメール一家の4人でハントの過去にあったことについて話をしていた。その時のハントの経験談から聞くに、彼は海賊嫌いの海軍嫌い。そのハントがルフィに誘われて、海賊になるといってついてきた。ほとんどの迷いを見せることもなく。実に簡単にだ。
8年も前のことだが、ハントの愛の告白をナミはもちろん忘れて
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