第二部
エリカぇ・・・
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郷に入っては郷に従えと言うのに、嘆かわしい話ね。イタリア語もできないのにこんな場所を彷徨くなんて。」
突然、不機嫌そうな声音でその少女が日本語で話しかけてきた。これにも護堂は驚愕する。
(何だ!?この辺の子供は、数カ国の言語をマスターしているのが当たり前なのか!?)
当然だが、そんな事実はない。世界有数のリゾート地なので、母国語の他にもフランス語や英語など、世界でもメジャーな言語を習得している人間は少なからず居るが、それでもこんな年齢の少女たちが習得しているのは不自然である。それも、これ程流暢に喋れる人などそうそういないだろう(勿論、彼女たちが日本に興味があって、必死に勉強した・・・という可能性も残っているのだが。最近は日本のサブカルが世界に蔓延しているし)。
「三日ほど前から、サルデーニャ島の各地で顕現しているまつろわぬ神について教えていただきたいの。ボーザ、オルゴソロ、バルミニ・・・神の来臨が確認された場所では、常に貴方の姿が目撃されている。・・・偶然ではないわよね?」
ビッと指を突きつけられたのは、記憶喪失の少女。
「何だ・・・?新手の宗教団体か?」
厄介なのに捕まった、という護堂の呟きを無視して、金髪少女は怒りに肩を震わせていた。
「【剣の王】が余計な真似をして、国自体に圧力を掛けているから、報道もされていなくてまだ混乱も少ないけど・・・!まつろわぬ神を見た人は精神に障害を起こして錯乱するし、建物や港は突然燃えて融解するしで私たちがこの三日間、どれだけ大変な思いをしていると思っているのかしら・・・!?情報規制にも限度があるわよ!被害者の治療をするのは私たちなのよ!幸い、本当に奇跡的に、再起不能な人間や死者は一人も出ていないけど、これからもそうだとは限らないのよ!・・・どうして、今は【伊織魔殺商会】が存在するというのに、これ程の苦労をしなくてはならないのかしら!?いっそのことサルバトーレ卿の命令なんて無視して、世界中に報道してもらえれば【聖魔王】様も気がつくかしら!?」
なんだか、殆ど愚痴のようになってしまっていた。自暴自棄のような雰囲気もしたが。良くは分からないが、その様子から、どうやら凄く大変な目にあっていたようだ。目尻に少しだけ涙が見えたような気がする。
「それもこれも全部!!!貴方のせいでしょ!?そうだと言いなさい!!」
・・・かなり、精神的にキテるようだ。今の彼女は、取り敢えず八つ当たりの対象を探している子供にしか見えなかった。女王様気質の人間は、攻勢には強くても守勢には弱いということだろうか?少し、可愛いと思った護堂である。
「・・・・・・?」
が、今回は金髪少女の負けであった。例え銀髪少女が彼女の欲しい情報を持っていた
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