第14話
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飛んできた土が俺のヘルメットを叩く。再び物陰からスナイパーを探す。スナイパーを見つけた次の瞬間、スナイパーの蟀谷(こめかみ)から、血が飛び散りスナイパーが倒れた。
俺が横を見るとヤン少尉のHK50から、煙がゆっくりと出ていた。
「ふむ。突撃銃(アサルトライフル)での狙撃は久し振りだが、存外出来るものだな」
ヤン少尉は何等驚きもせずに、淡々とした口調で呟いた。そんな、ヤン少尉の呟きを聞き流していると、カニスが戦場を駆け抜け、俺達が居る物陰にスライディングして飛び込み、俺の隣に到着した。息を切らし苦しそうに呼吸をしている。
「ハァハァ。なんだか、聞いていた話より敵が多くないか!?味方の姿がまるで無い!」
「確かに同感だ。俺も違和感を拭えない。ヤン少尉。どうして味方がこんなに少ないんだ?」
少なくとも他のヘリから脱出した隊員達の姿が一切無いのは変だ。俺達がヤン少尉を見ると少尉はゆっくりと話始めた。
「既に我々の部隊の戦死者は8人になった。現在、小隊の生存者は12人しかいない。他のヘリの生き残りは四方から、攻めてくる敵を迎撃するのに精一杯の状況だ」
ヤン少尉が淡々と状況を説明してくれる。ヤン少尉が無言で2ヶ所を指す。そちらに眼を向けてみると同じ部隊の連中が物陰に隠れながら、ヤン少尉を援護できる布陣で戦っていた。
「これからどうする?いくらなんでも、このままじゃ全滅するぞ!」
「落ち着けカニス伍長。今、フドウ曹長とエイ軍曹に周辺を調べさせている。二人が戻り、報告を聞き次第動くつもりだ。暫くは、此処を死守するぞ」
ヤン少尉が物陰から上半身を迫り出してHK50のトリガーを引いて、敵兵を射殺する。俺も遮蔽物から身を乗り出して敵兵を狙ってトリガーを引く。HK50の銃口から弾が発射され、敵兵の身体に命中する。銃弾が命中した場所は血が戦闘服を赤く染める。大量の銃弾を浴びた兵士が地面に倒れた。カニスもHK50を連射して敵兵を次々と射殺していく。
敵も遮蔽物に隠れながら反撃してくる。違う場所で奮戦している仲間が銃弾を受けて、遮蔽物内側に倒れた。俺はそれを横目で確認すると、即座に敵に銃撃を浴びせる。敵の攻撃が少し緩む。その隙に他の仲間達が即座に手当てに入った。
「(チッ!更に負傷者が出たか!1名負傷で1名が手当てで攻撃に参加出来ないか)ヤン少尉。左翼の小隊で1名負傷者が出ました!これ以上此処を死守するのは厳しい!」
「なに!クソ!踏ん張れ!フドウ曹長達が来るまで耐えるんだ!」
ヤン少尉が敵に向かって銃を発砲する。ダダダダと弾が飛び出し排莢が宙を舞う。ヤン少尉が透かさずしゃがみ遮蔽物内側に隠れた。何やら、遠くからキュラキュラと言う音と共に地面が揺れる。すると、左翼の小隊の誰かが声を上げた。
「敵の増援
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