第四幕その三
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った。それをホセに対して投げ付けた。
「ほら、もう返すわよ!」
「糞っ!」
指輪が額に当たり遂に激昂した。そうしてカルメンに突進しその豊かな胸を刺し貫くのであった。忽ちのうちのカルメンの胸が朱に染まった。
「これで運命のままね」
「運命!?」
「え、そうよ」
カルメンは崩れていく。その最後に力で自分を抱いているホセに対して言うのであった。
「こうなる運命だったのよ。あんたとあたしは」
「御前はそれがわかっていて」
「ええ、愛していたわホセ」
カルメンは青くなっていく顔で最後の言葉をホセに告げた。
「これは本当のことよ」
「愛していたのか、俺を」
崩れ落ちるカルメンの身体を抱いて呟く。
「それで御前はこうして」
ホセはカルメンの亡骸抱いて呟いていた。そうして最後に。
「俺に殺されたのか。俺の大事なカルメン」
外では歓声が起こっている。ホセはその中で崩れ落ちる。運命に導かれた破滅の愛が終わった。ホセはその中で己の全てが終わったことを感じていた。
カルメン 完
2007・12・9
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