第16話 アルマダの海戦
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ている。
「各砲撃ち方自由!撃ち方始め!」
ドーンドーンドーン!ドーンドーンドーン!
すれ違い様にどんどん砲撃を加えていく。
沈めきる必要はなく、それは後ろに続く我が艦隊がやってくれる。
悠々と進むスレイプニルの船上から、あまりの呆気なさに落胆しながら戦場を眺めていた。
「提督!敵艦隊を突き破りました!」
見張りの報告で、ぐるりと周りを見回す。
正面からぶつかった両軍、私たちはその中央をぶち抜いた形。
「我が艦隊の様子は!」
「損害は軽微、航行に支障なし、10隻共についてきています!」
ざっと戦場を俯瞰して、次の手を考える。
と言っても、取るべき手はそう多くないのだから自ずと決まるのだけど。
「取舵一杯!敵艦隊右翼を撃破する!英国海軍左翼と連動!我が艦隊に通達!」
ここまで来れば、勝利は確定。必要なのは如何に損害を少なく、圧倒的勝利を得るかどうか。
戦場にありながら、私の思考は既に先を見据えていた。
「いやはや、今回のマクダウェル卿のご活躍、まさに古の英雄に勝るとも劣らない戦果ですな」
あの海戦から約1週間後、今はロンドンのバッキンガム宮殿で戦勝を祝うパーティー中。
あのあと右翼を撃破して、そのまま左翼を全艦隊で半包囲して壊滅。
敗走するスペイン艦隊に対して、英国海軍は追撃しなかった。
どうやら体制を整えてから追撃するつもりだったみたいね。
私は歴史を知っている分、そんな時間は与えるつもりはなかった。
麾下の艦隊のみで追撃をして、2隻を残して全て沈めたわ。
この2隻は帰国してもらって、せいぜい私たちの恐ろしさを伝えてもらう。
そんな訳で、戦乙女海賊団は全体の4割、約50隻近くを沈め、英雄ともてはやされていた。
騎士団の彼女たちも、会場の各所でパーティーを楽しんでいる。
もちろん上辺で騙されるほど愚かじゃないから、単純に楽しんでいる。
かと思えば我が愛しき恋人兼義妹は、私の隣で男など興味なしオーラを隠しもせずにちびちびワインを飲んでいる。
私はこの機会にと、せっせと大貴族や大商人相手に顔見世という名の外交を行っている。
人脈っていうのは何にも勝る力になりうるのよね。
一通り話し、選定が終わった頃を捉えてエヴァが声を掛けてくる。
「今度は何を企んでいるんだ?」
にやりとしながら問いかける小悪魔が1匹。
「まぁ、地位と地盤は手に入れた。しばらくはのんびりしながら力を蓄えようかなって」
答えるのは、慈愛の女神のような微笑みを浮かべる魔王様。
「せっかく拾ってくれた国を食い物にしてか?」
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