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なりたくないけどチートな勇者
5*見栄を張るのもほどほどに
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黄金のオーラがあるということは王族なのであろう?聞いた話では“ニホン”という東の端っこにある島国らしいが、詳しく教えてくれ。」

空気が凍った。
いや、自分は「なにいっちゃってんの、このコ」的な気持ちだったんだが周りは違うらしい。

というか、自分は一般市民である。
そもそも日本は王制ではない。

そしてそんなことを考えてると、再び少しうるさくなった外野から小声で、ある会話が聞こえた。

「もしかして俺ら、他国の王族に刃を向けて、少しだけとはいえ拘束したってことになるのか?」

「ああ。
これが戦争の引き金になる可能性も十分にある。」

「しかも得体の知れない術をつかうし、魔力もないから探知もできない。
はっきりいって俺は勝てる自信が無いそ。」

うぉい!!
どんな勘違い!?通りでゼノア隊長の顔色が悪くなってるはずだ!!
そして日本にはこんな謎能力をもってるやつはいない!
あって陰陽道位だ。

即座にみなさんの勘違いを正さねば。

「いやまてまてまて!!
みなさん違う!勘違い!自分はただの一般市民の超平凡なフツーの人間で、王族とかそんなたいそうなものでは…な……ぃ?」

まて、何故に空気が再凍結する。
なにが「馬鹿な。」だ、馬鹿は貴様の頭だ、じゃじゃ馬姫。
そもそも、自分の言葉に問題なぞ…
問題なぞ………

…自分、人間ってカミングアウトしてるやん。

周りのお方々なんて、「なんでここに人間なんて生き物いんの?」って目でみてるし…
つか、もう音もない、誰も喋らない沈黙が重い。

…やっぱり、打ち首?

魔族様の本拠地にのうのうと侵入してきた自分はもしや、私刑ののちに死刑にされてしまうのか!?

とか考えてると、姫様がとんでもないことをしでかした。

「とぅ!」

「のぅわっ!」

飛び付いてきたのだ、皆様の目の前で。それにより自分は押し倒された形になった。そして彼女は自分の腹の上で全力の笑みを見せながらすわっている。
そして、女性特有の甘い香りと柔らかな…

てちがうわっ!
これ完璧に処刑ルートじゃん!
きっと「姫をたぶらかした罪で死刑!」とかいわれて首と胴体がサヨナラするんだ!

やだっ!ワ○ピースの最終話を読むまで自分は死にたくない!

と、すっかりネガティブゾーンを展開していた自分に予想斜め480度位上をいく言葉を姫様は発した。
自分の胸倉を掴んで。
くるちい。


「ナルミ!おまえは本当に人間なんだな!」

「はっはい!?
そっ、そうです、人間でぶっ!!」

姫様は自分の頭をめっちゃゆさぶってくれる。なので最後は頭を打った。

「ならナルミ!私の近衛兵となれ!」

「…ハィ!?」

思わず叫んだ。

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