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最期の祈り(Fate/Zero)
無題
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…そのくらい解ってるよ……けどっ」
彼女の頬を一滴の涙が伝った。
「切嗣が、心配で……」
セシリア達の状態は、大分回復に向かいつつあった。今は寝ているが、昼などは起きて、病人食に文句を言えるだけの気力がある。……しかし、彼女達のISは修復が完了せず、彼女達自身、普通の生活を送れる程には回復していない。今誰かに襲われたら、為す術は無い。切嗣が護衛につくのは、当然と言えば当然だった。そんな道理はシャルロットも解っている。しかし、そんな道理が受け入れられないのも事実だ。そんな役目が、何故自分が好意を寄せている男にまわるのか……。何故、大切な――大好きな人がずっと傍にいないのか。
「……ごめん。心配させたみたいだね」
シャルロットの涙を見た瞬間、漸く自分が蔑ろにしようとしたものに気付いたねか、切嗣は謝罪の言葉を口にした。
「だけど、それでも誰かが二人を見ておかないといけないんだ」
あぁ、なんと酷い人なのだろうか。自分に想いを寄せてくれているヒトの言葉を酌みつつも、それでも他の女の為に意思を貫く非道。
方法論としては、二人を護衛するのではなく、ラウラを監視するなり何なりすると言う手もある。しかし、切嗣はその案を破棄する。
『確実では無い』
別に二人をラウラから守るのは割合難しくない。ただし、それは敵をラウラのみとした場合だけだ。
――過去に、セシリアも鈴音も謎の敵に襲われている。セシリアは呪いの泥、鈴音は無人IS。共通点はどちらも黒幕が掴めていないという一点。仮に敵の狙いが二人の命なら、学園より安全な場所は無くなる。それも、泥に唯一対処出来る切嗣の側を除いて。だから、切嗣はセシリア達の傍にいる。事情を知っていれば理解は出来よう、だが、知らなければ他の女の傍にいる口実に聞こえなくも無い。故に、其を知らせるか切嗣を悩ませる。
(どうする……?ある程度の事情はシャルに話しておくべきか……だが、それは彼女も完全に巻き込むことになる)
それは、避けたい事態だ。いや、
「もう、遅いか……」
既に、シャルロットは切嗣と多くを共有し過ぎている。寧ろ、無知であることは危険だ。
(くそっ……)
心の中で吐き捨てる。甘くなっている。人としての喜びに浸り過ぎたと。以前の彼なら機械的にメリットとデメリットを嗅ぎ分け、感情を交えず判断を下した筈だ。今の自分はどうだ?
「……解った。少し事情を話す」
甘くなったとしか言いようがない。
…………
結局切嗣は、自分の秘密に関わりそうな部分は上手く誤魔化し、フェイタルな情報以外をシャルロットに話した。しかしその間も、中から沸き上がる罪悪感に苛まされ、まともにシャルロットの顔を見れなかった。
――謝りたかった。巻き込んでしまって、ごめん。そう一言、告げたかった。
確かにこれは衛宮切嗣では無い。自身すらを機械の様
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