暁 〜小説投稿サイト〜
カルメン
第一幕その二
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
口にするのだった。
「その青い服の」
「先程のお話ですか」
「君の知り合いだったな。確かミカエラといったな」
「はい、そうです」
 ホセはスニーガの言葉に応えて頷く。
「みなしごでして。うちのお袋が小さな頃に引き取って私と一緒に育てていました」
「では君の妹みたいなものだな」
「そうです、一応は婚約者ということになります」
「何だ、それは残念だ」
 スニーガはそれを聞いて苦笑いを浮かべた。
「私の出る幕はないな」
「申し訳ありませんが」
「まあいい。それでだ」
 スニーガは苦笑いをすぐに消してまたホセに問う。
「彼女は幾つかな」
「十七になります」
 ホセは素直にミカエラの年齢も述べた。
「早いもので。もうそんなになります」
「人間歳を取るのは早いものだ。それにしても」
 周りが慌しくなってきた。街の若者達が急にやって来たのだ。
「そろそろ煙草工場の仕事が終わるな。彼女を迎えに来たのだな」
「どうやらそのようで」
 ホセもそれに応える。
「では誰か彼氏のいない娘でも探すかな」
「誰かいればいいですね」
「一人位はいるだろう」
 スニーガは少し楽天的に言うのだった。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ