第二話〜王とは〜
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う」
「…わかりました。必ずや遂行いたしましょう」
江が提示した条件に甘寧は渋々了承の意を示す。
ちなみにこのことに関して孫権は何も言わない。さきほど桃蓮からこっぴどく叱られたこともあるが、自らの命を救ってくれた
江に対して文句はいえないのだ。
「では甘寧の件はこれにて終了だな。城に戻ろう」
桃蓮の言葉によって軍は撤退を開始した。
その道中でのことだった。
「命を救ってくれたことには感謝する」
「そ、孫権様?」
「だが、お前に聞きたいことがある」
孫権の顔はあくまでも憤りに満ちていた。
「先ほどの言は本心か?」
もし本心なのであれば…
そう続けられた言葉に江はキョトンとした顔をせざるを得ない。
彼をして、あの言葉は何ら侮蔑の意味はなかったのだから。ただ皮肉を交えて言ったのは否めないが。
「ええ、本心ですよ。…ただあなたは一つ勘違いをしておられる」
「ほう、この期に及んで言い訳か」
孫権は軽蔑を隠そうともせず、江を冷笑を以て見やる。
それに対し、江はやれやれと首を振りながら答えた。
「…しかし、あの言葉の真意が分からないとは…どうやら私の見込み違いでしたか…」
「真意…?」
「言った通りですよ。大体、貴女がもし桃蓮様や雪蓮のようになってしまったら孫呉は終わりです」
「は?」
あんまりな言葉に絶句する。
というかこれは間違いなく不敬ではないのか。周りの兵も呆気にとられている。
「………国というのは人がいなくては話にならない。それは民草から将兵、役人そして統治者も同じこと」
「何を当たり前のことを」
「ええ、当たり前のことです。そしてこれも当たり前の話。その統治者がやたらと直感に頼るのは論外です」
そう言って江は軍列の中央辺りを眺める。そこには己が主君とその長女がいるはずだ。
「直感に頼れば、部下の経験は積まれない。試行錯誤が為されないのにどうして孫呉は成長するのです?」
この言葉で孫権は話を理解し始めた。
つまり、もし母、姉に何かがあった時に、誰も対処が出来ないという事実。
「その点、孫権様は視野が広い。自分よりも良い意見を持っている者がいれば、迷わずそれを用いるでしょう。…まぁこの度は私が文官であると偽っていたので、上手く行きませんでしたがね」
反省の弁を宣う江に、全く反省の色は見えないが。
「自分で決断をし、時に部下を用いる。そうして、自他共に成長を図る。それが的確に出来る者は、正に『王』の資質を持つと考えます」
「
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